東急「定期客つなぎ留め」へ優遇策あの手この手 田園都市線で「新しい通勤スタイル」の需要深耕

東洋経済オンライン / 2021年2月17日 7時40分

田園都市線たまプラーザ駅前を出発する通勤高速バス「サテライトビズライナー」(記者撮影)

郊外住宅地の駅から都心へ「動くシェアオフィス」で通勤を――。東急は2月16日、田園都市線のたまプラーザ駅(横浜市青葉区)などと渋谷駅・東京駅を結ぶ通勤高速バス「Satellite Biz Liner(サテライトビズライナー)」の実証運行をスタートした。

バスの運行は、東急が1月13日から実証実験を開始した通勤客向けサービス「DENTO(デント)」の一環。デントは東急線の通勤定期券保有者を主な対象に、沿線のシェアオフィス利用や通勤高速バス・相乗りハイヤーなど新たな移動手段のチケット購入、沿線施設のクーポンなどを提供するスマートフォンのサービスだ。「座って仕事をしながら移動できる」サテライトビズライナーはその目玉といえる。

コロナ禍によるテレワークの普及などで大きく変わった働き方と通勤スタイルの変化は、鉄道会社の経営に大きな影響を与えている。とくに屋台骨である通勤定期客の減少は痛手だ。新しい通勤スタイルをうたう「デント」で、東急は新たな定期券の価値や移動のあり方を模索する。

■「動くシェアオフィス」

通勤高速バス・サテライトビズライナーは、平日の午前中に郊外から都心へ、夕方は逆方向の1日1往復運行。東急バスの新羽営業所(横浜市港北区)、田園都市線の市が尾駅・たまプラーザ駅(同市青葉区)と渋谷駅・東京駅南口を結ぶ。

車両はトイレ付きの38人乗り高速バス(定員は36人)で、無料のWi-FiとUSB電源ソケットを完備。座席備え付けのテーブルは小さいものの、車内ではひざに載せて使えるトレイ「Traybo2.0(トレイボー2.0)」を貸し出し、これを使えばパソコン作業が可能だ。たまプラーザ―渋谷間の運賃は1000円で、東急線の通勤定期券所有者が「デント」で買うと100円引き。デント会員は駅のカフェでコーヒー割引サービスもある。

午前中の都心方面行きは、たまプラーザ駅発が9時05分、渋谷駅着は10時15分で、通勤客向けとしてはやや遅めの印象だ。これは「今やパソコンを起動すればそれが始業時間という時代なので、着く時間を気にするというよりは『乗ったらそこがシェアオフィス』という位置づけ」と、デントを担当する東急交通インフラ事業部の森田創・MaaS戦略担当課長は話す。

車内を「シェアオフィス」と位置付け、電車の定期券保有者は割引になるという通勤高速バスは、働き方の変化や定期券利用者の減少を踏まえたサービスである「デント」の象徴的な存在だ。

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