「スーパー金融相場」は今年前半にピーク迎える <株価3万円の先を読む>専門家の見方
東洋経済オンライン / 2021年2月25日 7時0分
日経平均株価は2月15日に約30年ぶりとなる3万円台を回復した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で2020年3月に1万6000円台まで急落したが、大規模な金融緩和と財政出動を受けて反発し、昨秋以降はコロナ前の水準を一気に上回ってきた。世界経済を主導するアメリカの株価は最高値圏をひた走っている。
日米株高の行方をどう読むか。リスク要因は何か。ニッセイ基礎研究所の金融研究部上席研究員でチーフ株式ストラテジストを務める井出真吾氏に聞いた。
――まず日米株高の背景をどう見ていますか。
昨秋ごろから騰勢を強め、押し目らしい押し目もなくここまで来たが、その背景は大きく言って2つある。
1つは景気回復期待だ。アメリカでは追加経済対策がまとまりそうで、日本では製造業中心に業績予想の引き上げが相次いでいる。新型コロナのワクチン接種も世界中で広まりつつある。感染者数は日本だけでなく欧米でも目に見えて減ってきた。これらが景気回復期待につながっている。経済指標を見ても、アメリカのISM(全米供給管理協会)景況感指数や賃金など改善が顕著だ。
もう1つが、いわゆる「スーパー金融相場」がまだしばらくは続くという期待感だ。最近もFRB(アメリカ連邦準備制度理事会)のパウエル議長が「ハト派」のコメントをしており、黒田(東彦)日本銀行総裁も国会で「金融緩和はまだまだ続ける必要がある」と、むしろ景気下振れを心配するような発言をしている。つまり、景気が回復しても“お金ジャブジャブ状態”がまだまだ続くという期待感が背景にある。
■2023年前半の業績まで織り込む株価
――今後もしばらく株高が続きますか。
今年前半は高値圏を維持する可能性が高いとみている。日経平均で3万2000円程度、NYダウで言えば3万3000ドルぐらいまで上昇する可能性がある。
ただし、今のマーケットは期待だけで形成されており、実体経済からかけ離れている。アメリカ株の場合、今後1年間のEPS(1株当たり利益)コンセンサス予想を基にした予想PER(株価収益率)は現在22~23倍となっており、ITバブル期以来約20年ぶりの高水準となっている。
これは、2023年前半までの業績改善をすでに織り込んでいる計算になる。株式市場が景気や企業業績の改善を先取りするのは当たり前だが、通常は半年から1年先まで織り込む程度であり、2年以上先まで織り込むのはさすがに行きすぎといえる。そのため、上振れする可能性がある一方で、何らかの要因で急落するリスクもある。
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