山田氏隠しで逆ギレ、菅降ろし「土石流化」も 菅首相のトップリーダーとしての資質に疑問符
東洋経済オンライン / 2021年3月2日 10時0分
政府が大阪府などの緊急事態宣言解除を決めた2月26日夜。菅義偉首相がぶら下がりインタビューで「逆ギレ」したことが批判を巻き起こしている。
コロナ対策における重要決定なのに、菅首相は公式の記者会見を見送り、官邸玄関ホールでの短時間インタビューで済まそうとした。「(コロナ対策の)途中経過だから」(菅首相)が理由だが、会見の司会進行役となる山田真貴子内閣広報官(3月1日に辞職)に違法接待が発覚したことによる、「山田氏隠しのための会見見送り」(立憲民主幹部)と受け止めたからだ。
■露呈した首相としての資質の欠如
通常の数倍となる18分間のインタビューでは、肝心の宣言解除の理由や今後の見通しよりも「山田氏隠し」に質問が集中。菅首相はメモを見ながら、「まったく関係ない」と苦々しげに否定したが、記者団の執拗な追及に、最後は「同じ質問ばかりじゃないですか」などと露骨に不快な表情で打ち切り、逃げるように立ち去った。
続く3月1日の衆院予算委員会の集中審議も大荒れとなった。政府はそれに先立つ持ち回り閣議で、山田氏の辞任を了承。集中審議の冒頭、加藤勝信官房長官が「山田広報官は昨日夕刻に体調不良のため2週間程度の入院が必要となり、辞職したいとの申し出があったので、先ほど受理した」と説明した。
質疑のトップに立った立憲民主の枝野幸男代表は、山田広報官を続投させようとした菅首相を「遅きに失した」と追及。菅首相は「辞職したいとの申し出があったので、やむをえないと了承した」と平静を装ったが、主要野党は「体調不安を理由とした露骨な山田氏隠しで、病気による辞任もつくられたシナリオだ」(立憲民主幹部)などと追及した。
今回の混乱を極めるドタバタ劇で露呈したのは「菅首相のトップリーダーとしての資質の欠如」(閣僚経験者)。さらに、「官房長官や首相秘書官ら菅首相の取り巻きの機能不全」(首相秘書官経験者)を指摘する声も相次ぐ。
コロナ新規感染者の大幅減とワクチン接種開始で、いったんは下げ止まっている内閣支持率だが、与党内には「また下落しかねない」(自民幹部)との不安が広がる。
3月下旬に最終局面を迎える東京五輪開催の可否や、4月25日の衆参統一補欠・再選挙を控え、今後の展開次第では「自民党内で伏流水となっていた菅降ろしが、激しい土石流にもなりかねない」(自民長老)との見方も広がる。
2月26日のインタビューでは、菅首相が冒頭、宣言解除の理由と残る4都県の解除の見通しなどについて説明した。しかし、違法接待の質疑が始まると、菅首相の表情は一気に険しくなった。
■不快げに記者の質問を打ち切る
この記事に関連するニュース
-
NHK受信料値下げ法案、異例の「廃案」のわけ 違法接待問題の余波、狙いは野党の追及封じか
東洋経済オンライン / 2021年4月16日 11時0分
-
コロナ対策「まん防」で八方ふさがりの菅首相 感染拡大なら東京五輪・パラ開催中止の決断も
東洋経済オンライン / 2021年4月2日 7時30分
-
河井被告、「突然の議員辞職」にひそむ権謀術数 強い広島県民の反発、自民党への逆風回避狙う
東洋経済オンライン / 2021年3月25日 10時0分
-
“電波のドン”菅首相の東北新社認定取り消しは「形だけの処分」
NEWSポストセブン / 2021年3月24日 11時5分
-
菅首相、無策の果ての「ワクチン1本足打法」 21日に宣言解除、リバウンド覚悟で背水の陣
東洋経済オンライン / 2021年3月20日 10時0分
ランキング
-
1ハンセン病家族補償、旧植民地も 近く韓国60人申請、台湾は既に
共同通信 / 2021年4月18日 21時5分
-
2メッキが剥がれた大阪・吉村知事 実像は「典型的ポピュリスト」
NEWSポストセブン / 2021年4月18日 16時5分
-
3都道府県別のコロナ死亡率・重症率を算出 「地方」が上位を占める
NEWSポストセブン / 2021年4月18日 16時5分
-
4【新型コロナ】まさかの感染で生活が一変した夫婦、陽性から入院までの“克明な記録”
週刊女性PRIME / 2021年4月18日 17時0分
-
5元婚約者も「録音に驚き」小室圭さん“隠し録り”暴露が裏目に
WEB女性自身 / 2021年4月18日 12時42分