地下鉄延伸に黄信号「日本式インフラ輸出」の罠 ジャカルタMRT、第2期区間の入札不調が相次ぐ
東洋経済オンライン / 2021年4月9日 6時30分
ジャカルタ都市高速鉄道、MRTJ南北線の第1期区間(フェーズ1)ルバックブルス―ブンダランHI間(約16km)の開業から、3月24日で2年が経過した。コロナ禍でイベントは開催されなかったが、MRTJ公式ツイッター上にはジャカルタ州のアニス・バスウェダン知事をはじめとした政界人、そして日本大使館、国際協力機構(JICA)からのお祝いの言葉も寄せられた。
【2021年4月9日18時20分 追記】記事初出時、開業日に関する記述に誤りがありましたので、上記のように修正しました。
2019年3~12月の輸送実績はおよそ2460万人。毎月微増傾向で利用者は伸び続け、1日当たり9万人前後が利用していた。しかし、年明け早々には新型コロナ感染拡大に伴う在宅勤務が本格化し、駅からの2次アクセス整備などを考慮した需要予測の16万人には到達できなかった。それでもMRT単体での需要予測である6.5万人/日は大きく上回っており、定時運行率も99%を超え、インドネシア初の都市高速鉄道は成功裏に走り出したと言って過言ではない。
■一部区間の建設業者が決まらず
しかし、MRTJ南北線プロジェクトはまだ道半ばだ。第2期区間(フェーズ2)のブンダランHI―コタ間(約6km)が開業すればようやく、オールジャパンで挑んだパッケージ型インフラ輸出事業は本当の意味での完成を迎えるわけだが、フェーズ2の建設に今、黄信号が灯っている。入札不調が続き、一部区間の建設業者がいまだに決まっていないのである。
2019年4月1日、ジョコウィ大統領出席のもと盛大に開かれた開業式典では、同時に2024年の全線開業を目指し、フェーズ2の起工も宣言された。しかし、このときフェーズ2の建設着工に関わる業者は何も決定していなかった。
ブンダランHI―コタ間の建設を巡っては、設計段階から不確定要素がある。詳細は後述するが、同区間は厳密には「フェーズ2A」と呼ばれている。フェーズ2Aの入札パッケージは以下の6つに分かれている。
CP201(タムリン・モナス各駅および駅間の土木工事一式)
CP202(ハルモニ・マンガブサル・サワブサル各駅及び駅間の土木工事一式)
CP203(グロドック・コタ各駅および駅間の土木工事一式)
CP205(軌道・通信・信号)
CP206(車両)
CP207(運賃授受システム)
このうち、CP201のみは2020年3月に清水建設と国営建設アディカルヤとの共同事業体が約340億円で受注したと発表されている。
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