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パワハラ自殺で遺族に2度謝罪、豊田章男氏の心中 追い込んでしまったトヨタの企業体質への反省

東洋経済オンライン / 2021年6月11日 14時50分

再発防止策を徹底できるかが問われている(写真:Kiyoshi Ota、Toru Hanai/Bloomberg)

トヨタ自動車の若手男性社員(当時28歳)が2017年に自殺したのは、上司のパワハラが原因だったとトヨタが認め、社長の豊田章男氏が2019年11月と今年4月の2度にわたって遺族に直接謝罪した。遺族とは今年4月7日付で訴訟外の和解が成立しており、トヨタは人事制度の見直しなど再発防止策を進めている。

パワハラが原因による自殺が起きてしまったことは、遺族や関係者にとって大きな悲しみであり、社会的にも簡単に許される問題ではない。あの優良企業のトヨタで重大なコンプライアンス(法令順守)違反の事例が起こったという二重の驚きもある。強い批判を浴びても仕方がなく、関係者には猛省が求められる。

■2019年11月と今年4月、遺族に直接謝罪

一方、訴訟に発展しておらず、労災も認定されていない段階の2019年11月の時点で、章男氏は遺族宅を訪れて謝罪している。そして約1年半後の今年4月に和解に至り、さらにもう一度、章男氏は遺族に直接謝罪した。

章男氏には自身が社長として社員をパワハラから守れなかったという事実が突き付けられた。なぜパワハラの情報が上がってこなかったのか。なぜ周囲の従業員はパワハラに知らん顔を決め込んだのか。どうしてパワハラは許されたのか。考えれば考えるほど、愕然としたのだ。

経営者としての章男氏は、「従業員は家族だ」と考えている。大事な従業員を守ることができなかったのは、これまでのトヨタのやり方が間違っていたからではないのか。

2009年の社長就任から10年以上にわたって、トヨタの構造改革を進め、ある程度、手ごたえを感じていた。だが、このような悲しく痛ましい事件が起きてしまった。いま一度、従来のトヨタを変えなければいけない、と痛切に反省したのである。

章男氏は、この事件を受けてこれまでの人事体制を抜本的に変えることを決断した。すなわち、声を出しやすい職場づくり、パワハラを行った際の罰則規定の明確化、異常時における情報の引き継ぎ強化、マネジメントに対するパワハラの意識啓発、休務者の職場復職プロセスの見直しなどである。

このほか、今日までに旧来の人事体制を根本から変えるため、全面的に人事を一新した。それは、過去のトヨタとの決別であった。

章男氏が遺族に2度にわたって直接謝罪したことの背景は、章男氏自身が、会社の中で居場所がなく、つらいサラリーマン生活を送ってきたことと無関係ではないだろう。

章男氏は、慶応義塾高等学校、同大学を卒業、アメリカ・バブソン大学経営大学院修了後、アメリカの投資銀行に勤務した後、1984年にトヨタに入社した。確かにその経歴は、華麗で恵まれている。しかし、入社にあたって、父親の豊田章一郎氏からは、「トヨタには、おまえのような者を部下に持ちたい者はおらんだろうな」といわれた。

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