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もはや民主主義国が少数派に転落した世界の現実 実は迷走、危機に瀕する「アメリカの民主主義」

東洋経済オンライン / 2021年6月30日 9時30分

6月のG7サミットで記念撮影するG7の首脳ら(写真:AFP=時事)

イギリスでのG7サミット出席など初めての外遊を前にした6月初め、アメリカのバイデン大統領がワシントンポスト紙に寄稿した。それほど長くない記事の中でバイデン氏は中国への対抗心をあらわにしつつ、「民主主義の価値」「民主主義の可能性」「主要民主主義国の結束」など、民主主義という言葉を14回も使った。

こうしたバイデン大統領の意向が反映されたのであろう、G7サミットの共同宣言では民主主義や自由、平等、法の支配、人権の尊重など、民主主義国が共有する抽象的な理念や価値が繰り返し強調された。そして、「強靭な国際秩序は我々市民の安全と繁栄の最良の保証人である」とうたわれた。

それはあたかも7つの先進民主主義国の首脳が結束し、台頭著しい中国の権威主義や専制主義に立ち向かっていく決意表明でもあるかのようだった。

■民主主義に対するバイデン氏の危機感

前任のトランプ大統領は自国中心主義を前面に打ち出し、ヨーロッパの主要国との同盟関係を傷つけ、国際社会を混乱に陥れた。それに対し、バイデン大統領は、昔からの同盟国との関係修復を図るとともに対中戦略の先頭に立って民主主義の価値を訴える。トランプ氏とは対照的に頼もしく、期待もできる大統領だ。少なからぬメディアがそんな描写をしている。

しかし、実態はそれほど単純ではない。バイデン大統領が民主主義の重要性を強調すればするほど、逆に現状に対する危機感がにじみ出てくる。

数ある政治体制の中で、民主主義は独裁や専制政治などに比べると、最もましなものであろう。第2次世界大戦後、植民地から解放された国を含め多くの国が民主主義のシステムを取り入れたのも、それだけ魅力があったからだ。

特に冷戦崩壊後は、ソ連を中核とする共産主義、社会主義に対して、西側諸国が標榜した民主主義と自由市場経済が勝ち残り、政治の主流になったと思われていた。ところが近年、現実の世界は逆転している。

2019年、スウェーデンの調査機関VーDemは、世界の民主主義国・地域が87カ国であるのに対し、非民主主義国は92カ国となり、18年ぶりに非民主主義国が多数派になったという報告を発表した。その後も民主主義が勢いを盛り返してはいないばかりか、権威主義国家の台頭ぶりが目立っている。

逆転現象は国際機関の場でも明らかになっている。国連の人権理事会は2020年6月、民主化運動の弾圧を目的とする中国の香港国家安全維持法を取り上げ、中国批判派と支持派が対立する事態となった。批判派は日本をはじめ27カ国だったのに対し、支持派は約2倍の50カ国だった。その多くが権威主義国家、独裁国家と呼ばれる国々であり、中国の一帯一路政策の恩恵に浴している国々だった。

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