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刑事責任あいまいに?問題含み「略式起訴」の実態 公開裁判でないため冤罪が発生するリスクも

東洋経済オンライン / 2021年7月6日 13時30分

公職選挙法違反の罪で略式起訴された菅原一秀前経済産業省(写真:ロイター/アフロ)

菅原一秀・前経済産業相が地元で香典など総額80万円相当を渡したとされる公職選挙法違反の事件で、東京地検特捜部は6月8日、菅原氏を略式起訴した。報道によると、東京簡易裁判所は、6月16日付けで、罰金40万円、公民権停止は3年とする略式命令を出したとされている。

この事件で検察は当初、菅原氏を不起訴(起訴猶予)にしたが、検察審査会の「起訴相当」議決を受けて再捜査した結果、刑事事件として処罰することにしたようである。しかし、検察官は通常の刑事裁判ではなく「略式起訴」「略式命令」という簡易な手続き(略式手続)を求めた。

検察と裁判所の対応については、賛否両論あるだろうが、そもそも「略式起訴」「略式命令」とは何か、なぜ存在するのか、ご存じだろうか。法的な観点からその基本と問題点を確認しておきたい。

■略式命令が認められる条件とは

まず大原則として、刑事裁判は公開の法廷で、法律で決められた手続きにのっとって行わなければならない。憲法37条1項は「すべて刑事事件においては、被告人は、公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する」と定めている。

一般にイメージされている刑事裁判は、まさにこのような手続きだろう。傍聴人が自由に傍聴できる状態で、検察官と弁護人が、双方の主張を戦わせて、証人を尋問したり、その他の証拠を調べたりして、最終的に裁判官(裁判員裁判の場合は、裁判官と裁判員)が判断をする。公開の裁判を受ける権利は、近代法治国家の大原則といってもよく、だからこそ、憲法上も重要な権利として保障している。

ところが、刑事訴訟法は一定の犯罪について、公開の法廷での正式な裁判を開かずに略式命令という裁判によって刑罰を科すことを認めている。

これは簡易裁判所が管轄する事件で100万円以下の罰金または科料を科す場合であって、被疑者に「異議がない」ことが書面で確認された場合、検察官は簡易裁判所に起訴と同時に略式命令の請求をし、簡易裁判所が書面のみで審査をして略式命令という形で罰金刑を科する形で行われる(刑事訴訟法461条)。

略式命令が出された場合、被告人は罰金を支払うことで手続きを終わらせることができるが、もし正式な裁判を受けたいと思った場合は、14日以内であれば正式裁判の請求をすることができる(刑事訴訟法465条)。

意外に思われるかもしれないが、統計上は、通常の裁判よりも略式手続で処理される事件のほうが圧倒的に多い。

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