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鉄道法令、なぜ「文語体カタカナ」にこだわるのか 新設の条文なのに「口語体ひらがな」を使わない

東洋経済オンライン / 2021年7月7日 8時30分

②旅客または公衆が前項の点検または協力の要求を拒否した場合には、鉄道係員は、その旅客または公衆に対し、車外または鉄道地外に退去することを求めることができる

としてもいいはずである。

しかし、鉄道運輸規程の他の条文は制定された時期の関係もあっていまだに「文語体カタカナ」のままで残っている。他の条文が制定当時の「文語体カタカナ」のままなのに、改正や追加された条文だけ「口語体ひらがな」となってしまうと、条文表記のつり合いが取れない。そのため個別の条文の修正や追加などがあっても法令全体が「文語体カタカナ」のものは「口語体ひらがな」にはしないという扱いになっているようである。

■120年前からある鉄道営業法

ほかにもこのような扱いの条文は散見される。

たとえば鉄道営業法の第14条を見てみる。鉄道営業法自体は、今から120年以上前の1900年(明治33年)に作られた古い法律であるが、2017年に改正民法が公布されたときにあわせて第14条が改正されている。

もともとは「運賃償還ノ債権ハ一年間之ヲ行ハサルトキハ時効ニ因リテ消滅ス」と定められていたが、改正民法に即するよう2017年に「運賃償還ノ債権ハ之ヲ行使スルコトヲ得ベキ時ヨリ一年間行使セザルトキハ時効ニ因リテ消滅ス」と改正された。

もし、まったく新しい法令で制定されたとしたら、例えば「行使セザルトキハ」の部分は「行使しないときは」という柔らかい言葉遣いで「口語体ひらがな」になったであろう。

なお、鉄道営業法の中にはさらに特徴的な規定がある。第18条の2という条文は先に述べた改正民法とあわせて新設された。

この条文の表記は、

「鉄道ニ依ル旅客運送ニ係ル取引ニ関スル民法第五百四十八条の二第一項ノ規定ノ適用ニ付テハ同項第二号中『表示していた』トアルハ『表示し、又は公表していた』トス」

というものである。

・平成末期に新設された条文なのに鉄道営業法全体にあわせて「文語体カタカナ」

・しかし、引用されている民法は「口語体ひらがな」なので、民法引用部分は「口語体ひらがな」

という「口語体文語体カタカナひらがな」の条文に出来上がっている。

■口語体に統一は無理?

「法律の不知は許さず」という格言がある。「法律で定められているなんて知らなかった」という言い訳は許さないというものである。そうであるなら、法律や規則、省令などは、その規律を受ける国民にわかりやすくなければならない。その点では、現代に条文の追記や一部改正があっても「文語体カタカナ」が使われ続けるのでは、その目的は達せられないように思われる。

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