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報徳会宇都宮病院に今も君臨する95歳社主の正体 精神医療史に残る不祥事経てもなお最前線に立つ

東洋経済オンライン / 2021年7月14日 8時0分

報徳会宇都宮病院の本館。全体で653床の病床を持つ精神科病院だ(記者撮影)

精神疾患により医療機関にかかっている患者数は日本中で400万人を超えている。そして精神病床への入院患者数は約28万人、精神病床は約34万床あり、世界の5分の1を占めるとされる(数字は2017年時点)。人口当たりで見ても世界でダントツに多いことを背景として、現場では長期入院や身体拘束など人権上の問題が山積している。日本の精神医療の抱える現実をレポートする連載の最終第13回前編。

■「気持ちが落ち着くまで、ちょっと入院しませんか」

「もう4年ぐらい会えてないよね……、長いよ。それともママは子供を産んではいけなかったの?育ててはいけなかったの?だから会えないの……?」

2020年4月18日付の自筆の日記に、2人の娘たちと離れ離れになっている悲痛な心境をこうつづっていた、30代女性のAさん。Aさんが精神科病院「報徳会宇都宮病院」(栃木県宇都宮市)に入院してから、ちょうどこの日で2年9カ月が過ぎていた。

都内在住のAさんは夫のDV(家庭内暴力)に耐えかねて離婚し、当時2歳と1歳だった年子の娘たちを連れて、DV被害の母子を一時保護する、都内の「母子生活支援施設」へと身を寄せた。

共同生活を余儀なくされる慣れない環境下で、娘たちは不安定になった。ささいないざこざ続きの毎日だったが、ある時、姉妹けんかで次女の頬にできた傷がネグレクト(育児怠慢)の証拠だとして、児童相談所が介入。保育園にいた2人の「保護」に踏み切った。

突如、娘たちに会えなくなったショックでAさんはうつ状態に陥った。施設から出され経済的にも困窮し、東京都内の地元の福祉事務所に相談すると、「気持ちが落ち着くまで、ちょっと入院しませんか」と、職員から打診された。

「その時は自暴自棄な気持ちで同意しましたが、その後に当然都内だと思っていた入院先は、私とは縁もゆかりもない栃木県内だと聞き驚きました」(Aさん)

当日は、都内のあるメンタルクリニックで簡単な診察を受けた後、福祉事務所の職員とともに、そのままタクシーで栃木県へと向かった。宇都宮市内の病院に到着したときには、すでに日はとっぷりと暮れていた。

「病院のロビーでは、かなり高齢の男性たちが談笑していました。患者さんかなと思ったら医師で、私の顔を見ると白衣を着て診察室に入っていきました」(同)

Aさんの主治医となったこの高齢の医師は、「口調は乱暴で、とにかく人の話を聞こうとしない人だな、というのが初診時の第一印象でした」(同)。15分ほどの診察で、病名を明確に告げられることもないまま、女性用の閉鎖病棟への入院が決まった。

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