1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

アルツハイマー「根本治療薬」専門医はどう見るか 「アデュカヌマブ」日本導入の可能性と課題は?

東洋経済オンライン / 2021年7月19日 10時0分

アルツハイマーの治療薬「アデュカヌマブ」の研究に参加する男性(写真:AP/アフロ)

「これまでずっと治験の最終段階で跳ね返されていたのが、対象者や評価法を改良した結果、ようやく承認に値する結果が得られたというのはあると思います。しかし、承認されたからといって100パーセント喜んではいません。まだ第一歩、風穴を開けた程度というところです」(順天堂大学医学部名誉教授の新井平伊氏)

6月7日、FDA(アメリカ食品医薬品局)は、認知症の根本治療薬と期待されている「アデュカヌマブ」の製造販売の承認をした。「アデュカヌマブ」とは、日本のエーザイとアメリカのバイオジェン社の2社が研究開発した薬で、株価は両社とも翌日大幅に値上がりした。この新薬への期待は世界的にみても大きいといえる。

「アデュカヌマブ」は認知症の根本治療薬と言われているが、従来の認知症治療薬とどこが違うのか、また今後の課題等について、アルツハイマー病の基礎と臨床を中心とした老年精神医学が専門の新井平伊(あらい・へいい)順天堂大学医学部名誉教授に聞いた。

■結局、従来の薬と何が違うのか?

――「アデュカヌマブ」は根本治療薬と呼ばれていますが、従来の薬との相違点は?

「一言でいうと薬のターゲットが違います。アルツハイマーの原因としては『アミロイドβ仮説』というものがあります。通常、脳の神経細胞膜にあるアミロイドβタンパクは、分解され、代謝されて血液中に流れていくのですが、脳の中にたまってしまうと、神経細胞の働きの邪魔をします。神経細胞の働きが悪くなると『アセチルコリン』が減少してくるし、最後は多くの神経細胞が死滅し脳が萎縮してくる。これが『アミロイド仮説』です。

従来の薬は『アセチルコリン』の減少を改善するものですが、今回承認された『アデュカヌマブ』は、アミロイドβタンパクを減らす治療薬になります。従ってメカニズムがまったく違うのです」

アルツハイマーが進行する流れとしては、まずアミロイドβタンパクが分解されずに脳内に溜まっていくことで、神経細胞がダメージを受ける。そうすると記憶に関係する神経伝達物質、アセチルコリンが減少する。その結果、脳が徐々に萎縮していき、物忘れの症状が出てくるということだ。認知症治療薬として有名な「アリセプト」は、進行を抑制することは可能だが、アミロイドβを減らす効果はないため、根本治療薬ではなかった。

「アデュカヌマブは、理想的には発症の前段階で使用する薬です。この段階でアミロイドβを増やさないようにすれば、神経細胞のダメージもなく、その後の流れをストップさせることができるのではないかということで根本治療薬といわれています」

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング