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「家庭教師に月40万円」教育先進国の凄まじい現実 シンガポールの「普通の家庭」も巻き込まれる

東洋経済オンライン / 2021年7月21日 12時0分

つまり家庭側が優秀な家庭教師を確保するのが難しく、獲得競争が熾烈なのだ。もちろんシンガポールには日本にもあるような家庭教師紹介サイトや派遣サイトのようなものがある。しかし、実際に家庭教師を雇っている人に、どうやって見つけたのかを聞くと、ほぼほぼ「友人や親戚の紹介」だ。

しかも、半ば常識になっているのが、実績のある家庭教師には数年前から唾を付けておいて、今見ている子どものPSLEが終わった途端に、自分の家に来てもらうという「テクニック」だ。

話題の韓国ドラマ「SKYキャッスル」にも受験コーディネーターについてもらうために奔走する話が出てくる。世界中で巻き起こっている家庭教師の獲得競争に頭がクラクラする。

前々回、フランスの社会学者ピエール・ブルデューの「文化資本」の概念について家にある蔵書や触れる芸術などと説明したが、ブルデューがもう1つ打ち出した「社会関係資本」という概念がある。これは簡単に言ってしまえば人脈だ。

シンガポールにおいて、親戚や知人から評判のいい家庭教師を紹介してもらえることは非常に重要だ。結局のところ、経済資本、社会関係資本の有無によって家庭教師を雇えるかどうかが決まっていることが伺え、ここでも恵まれた人がより有利な競争環境を確保していくという格差の実態を見ることになる。

■教育への懸念が女性に出産を断念させる

シンガポール人の親たちにとって、もう1つお金の懸念になるのが、海外大学への進学の可能性だ。

NUS(シンガポール国立大学)やNTU(南洋理工大学)は、世界大学ランキングによっては東大より評価が高いことも。学費は外国人の半額程度で済み、親元から通えれば生活費も追加でかからない。そのため、アメリカのアイビーリーグなどを目指す一部のエリートを除けば、シンガポール人の理想の進路は「国内大学」になる。

それが難しいとなったとき、ある程度経済的基盤がある親たちが考えるのがオーストラリアの大学だ。アメリカやヨーロッパより渡航費や学費が安いとされ、距離的にも近いためだ。とはいえ、海外大学に行くと出費は多くなる。その可能性に備えて、貯金をしておこうと考える——。

もちろんシンガポールは大学に行かない人たちにもきちんと道を用意している。お金が心配なら大学に行かなくてもいいではないかという議論もありうる。しかし、教育(学歴)によって処遇が大きく異なる社会で、よい教育を受けようとするためにお金がかかるという状況は、何をもたらすか。

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