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旅行大手HISで「非旅行業に夢を託す男」の仕事観 51歳法人営業本部長が進む「旅行会社の商社化」

東洋経済オンライン / 2021年7月31日 11時0分

会社における花形事業、メジャー部門は目立つ。社内ではそこに異動して活躍したいという社員が列を成し、社外からもキラキラして見える。

だが、HIS自体がゼロから大きくなっていったように、最初から花を咲かせていた花形部門など存在しない。最初はどれも種から始まり、なんとか芽を出して、少しずつ茎を伸ばして葉を生やすことができた後、ようやく花が開く。

それに、すでに光が当たっている部門は仕事の型が決まり、自由度が低くなり、少しでも高く背を伸ばそうとライバルたちがひしめき合う。一方、まだ光が当たっていない部門の仕事は試行錯誤でどんなふうにも変えやすく、背を伸ばせば光を一手に浴びることもできる。

「マイナーであるということは、めちゃくちゃチャンスです。法人営業は、やっていることも中にいる人も、非常に可能性を感じる部門でした」

■思い立ったら小さくやってみる

HISには、海外のネットワークがある。加えて、法人部門にはBtoBのネットワークがある。これらをつなぎ合わせて、何か新しいことができないかと山野邉さんは考えた。

「インターネットが発達して、どんどん業務渡航が便利になっていくわけですから、かねて旅行会社は事業自体を変えていかないと明日はないという危機感を持っていました」

いろいろと事業のアイデアはあったが、2019年の春頃、HISの店舗改装の依頼をしていた建築デザイナーとの打ち合わせで、山野邉さんは思いもかけない提案をする。

打ち合わせでは店舗のデザインを見なければいけないのに、他のことが気になった。その建築デザイナーが店舗デザインとは別にパンケーキ屋を運営していたことだ。話を聞いてみると、とてもこだわりのあるお店だということがわかった。

そこで、「過去に一度もやったことがないにもかかわらず、気がついたら、その場の勢いで『海外にお店を出してみませんか』と提案していました」。その結果、即断即決。両者ですぐに「やろう」ということになった。

こうして、エイチ・アイ・エスは北海道カフェ『椿サロン』の「北海道ほっとけーき」を台湾のリージェント台北に送り出したのをきっかけに、日本の食文化の海外進出支援事業を始めることになった。

2020年初めに中国から始まったとみられる新型コロナウイルス感染症の流行が各地へ広がり、全世界がコロナ禍に包まれた。

「なんだかんだ言ってすぐに落ち着くだろうと考えていましたが、やがて事態が長期化するにつれて、これは相当しんどい状況になったと思いました。でも、旅行ができないなら、旅行以外のことをやるしかありません。もともと旅行会社は変わらなければならないと思っていましたから、必要に迫られているこの状況は、旅行会社の変革を大きく前進させるうえで絶好の機会であると考えました」

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