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旅行大手HISで「非旅行業に夢を託す男」の仕事観 51歳法人営業本部長が進む「旅行会社の商社化」

東洋経済オンライン / 2021年7月31日 11時0分

旅行業が厳しい状況にある中、山野邉さんの言う「商社化」はHISの成長エンジンとしての可能性を秘める。HISが日本と世界、世界と世界をつなぐ触媒として介在すれば、旅行以外にも新しい価値を生み出すことができるかもしれない。今はまだ種から芽が出たぐらいだ。大きく花を咲かせるにはさまざまな困難があるだろう。うまくいく保証は何もない。

しかし、立ち止まっているだけでは何も変わらない。今年2021年7月、山野邉さんたちは豊かな日本の国土に広がるおいしい文化を世界へ、そして、未来へ届けるために「HIS FOOD PROJECT」を発足させた。こだわりの日本茶の輸出や、農業、畜産業の生産支援に着手している。

■挑戦者を称える組織風土

山野邉さんがこのように考えられるようになったのは、生来の気質に加え、HISという組織風土から受けた影響も大きかったと言う。

「危機になっても落ち込まなかったのは、HISでは昔から『危機こそチャンスだ』という考え方が根付いていたからだと思います。世間でも『カリスマ経営者』と言われる、うちの澤田(取締役会長兼社長・澤田秀雄氏)が『そういうときこそ、顔を上げなきゃいけないんだ。元気を出さなきゃいけないんだ』とよく言っていました。何より澤田自身がそれを実践していますし、事業を楽しんでいる。仕事を楽しんでいる。そうした思考や姿勢が企業のカルチャーを築いていたように思います」

今回のコロナ禍は旅行業界にとってかつてないほどの衝撃を与えた。これほどまでの規模の事態はなかったとは言え、振り返ってみれば、これまでにも幾度となく旅行業界は大きな危機に見舞われてきた。

過去にも、湾岸戦争やSARS(重症急性呼吸器症候群)の流行などで、旅行がピタッと止まることがあった。そのときも澤田氏は「需要がない状態が普通なんだったら、何かしようよ」と社員に呼び掛けた。「ですから、HISの社員には少なからず、逆境を力に変える精神が宿っているように思います」(山野邉さん)。

過去に与えられてきた数々の試練と、カリスマ経営者のもと、社員たちが幾多の困難を乗り越えてきた歴史の中で、同社には「変人=変える人」が生まれる土壌が育まれてきたのかもしれない。

■会社をテコにせよ

山野邉さんは言う。

「サラリーマンがいいと思うのは、会社を使うことで自分の力以上のことができるということです。これは、本当に魅力です。会社の看板を使えるなら使い倒せばいいんです。

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