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次世代鉄道の切り札?「水素技術」開発競争が激化 各国メーカーが注目、トヨタの燃料電池活用も

東洋経済オンライン / 2021年8月26日 8時0分

フランス・アルストムが開発した水素をエネルギー源とする燃料電池車両「コラディア・iLINT」。2016年のイノトランス(国際鉄道技術見本市)で展示した(筆者撮影)

温暖化抑制のために二酸化炭素排出量を削減する、いわゆる脱炭素へ向けた動きが世界的に高まりを見せている。中でも、水素を燃料とした燃料電池や水素燃焼エンジンは化石燃料に代わる切り札として注目を集め、すでに自動車メーカー各社から燃料電池車が市販されている。

鉄道業界においても水素燃料への関心が高まっている。日本ではJR東日本と日立製作所、トヨタ自動車が連携し、燃料電池と蓄電池を組み合わせたハイブリッド試験車の開発に取り組む。日立の持つハイブリッド駆動システムとトヨタの燃料電池技術の組み合わせによって水素をエネルギー源とする車両を実現し、鉄道の環境優位性をさらに向上させるとしている。

■欧州鉄道向けにトヨタが技術提供

そのトヨタは2021年4月、ヨーロッパ大陸の事業統括会社であるトヨタ・モーター・ヨーロッパ(TME/ベルギー)を通じて、EUにおける鉄道向け燃料電池ハイブリッド電源開発プロジェクト「FCH2RAIL」へ、水素燃料電池車MIRAIに搭載されている技術を応用した、フューエルセル・モジュール(水素燃料電池パッケージ)を提供すると発表した。

FCH2RAILは多目的燃料電池ハイブリッド・パワーパック(FCHPP)の開発、構築、テスト、実証試験などを行うプロジェクトで、スペインの鉄道車両メーカーCAFを中心に、複数のメーカーが参加している。システムは、本線用車両はもちろんのこと、入換用機関車や重量貨物列車へ使用するために重連でも使用でき、新車だけでなく既存の車両を改造して搭載することも可能なものを目標としている。

ヨーロッパでは化石燃料への依存を減らすため、非電化区間の電化促進と並行して、代替燃料を使用する新しい動力源の開発を進めようとしている。ヨーロッパ地域において、国内主要路線が100%電化されているのはスイスだけで、他国には多くの非電化路線が残っており、これらの路線を走る車両の大半は化石燃料を使用するディーゼルカーなどだ。

化石燃料依存からの脱却にはスイスと同じように電化促進が望ましく、実際に各国で非電化路線の電化工事が進んではいるものの、多額の費用と長期間の工事を必要とする。水素燃料や蓄電池といった技術は、既存のシステムを大きく変えることなく、手っ取り早く温室効果ガスの排出抑制を達成できる手段として注目を集めている。

FCH2RAILプロジェクトにおいては、電化区間では架線からの電気を動力源として使用し、非電化区間で燃料電池ハイブリッドシステムへ切り替えることで、エネルギー消費を最小限に抑制したバイモード仕様となる。つまり、電車としてのシステムを残しつつ、非電化区間では架線から得られる電気以外を動力源として運転する。新車だけではなく、既存の電車やディーゼルカーを直接改造することで、大幅な排気ガス抑制効果が期待できると注目されている。

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