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日本人は最低賃金を抑え込む事の弊害を知らない 労働者を買い叩き続ける限りデフレは終わらない

東洋経済オンライン / 2021年8月31日 10時30分

仮に、2021年度が目安どおりに引き上げられれば28円の上昇となり、2002年から2019年にかけて、最低賃金額は267円上昇したことになる。

日本の消費者物価の上昇と比べれば、最低賃金の上昇も異質ではないのだが、それにしても20年近くかけて300円にも満たない上昇というのは国際的に見て異例と言っていい。

日本が長い間、デフレ経済に陥ってきたことはよく知られている。最低賃金を含めた収入が抑えられたために、消費が伸びずに景気も回復せず、ひいては転職もできずに生産性も上がらない。新しい技術革新や構造改革もできない……。まさに、負の連鎖といっていい。

かつて、韓国が大幅に最低賃金を上昇させたことがあるが、日本ではその政策が「失敗」したかのように一方的に報道されてしまったのも、最低賃金に対する考え方を迷走させたと言える。韓国で2018年と2019年にそれぞれ16.4%、10.9%と最低賃金を引き上げたことについて、日本では「韓国経済がボロボロになった」と報道された。しかし、実際の「実質経済成長率」は、IMFによるとそれぞれ2.9%、2.0%となり、日本の0.6%、0.3%よりも高かった(2021年4月現在)。

■最低賃金上昇への懸念とは?

こうしたこともあって、日本ではなかなか最低賃金の大幅アップができなかったとも言える。また、メディアのとらえ方も、「雇用か、賃金か」といった二元論でその是非を判断してしまった部分がある。実際に、日本では長年にわたって賃金上昇が抑えられてきたわけだが、最低賃金の上昇に対して"懸念"があるのも事実だ。

たとえば、

① 雇用の減少につながる
② 経営基盤への圧力、企業倒産の急増
③ 転職が活発となり終身雇用制が崩壊する

といった不安だ。

しかし、そうした不安だけで長期にわたって最低賃金が抑え込まれてきた、というのも納得いかない。最低賃金を低く抑えるということは「労働分配率」が低下することを意味していると前述したが、日本では2000年以降、ほとんどの期間で労働分配率が下落してきた。

唯一、2009年以降の数年間だけ上昇している。要するに、自民党と公明党が下野して「民主党」が政権を取っていた時期だ。

そもそもマクロ経済的にみると、日本は雇用者に対して総じて冷たい国といっていい。「雇用者報酬」というデータを見ても、それがよくわかる。「データブック 国際労働比較 2019(独立行政法人 労働政策研究・研修機構)」をベースに試算すると、日本の「雇用者報酬」は、2005年の258兆円に対して、2017年には275兆円と、12年間で6.58%の伸び率だ。同様の期間を国際比較してみると、次のようになる(各国通貨ベース、日本とアメリカ以外は2018年)。

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