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バイデン大統領支える「がんで逝った息子」の存在 苦難の中でいかに大統領選出馬を決めたのか

東洋経済オンライン / 2021年9月6日 11時0分

バイデン大統領は息子が余命宣告を受けるな中でいかに大統領選出馬を決めたのか(写真:Stefani Reynolds/Bloomberg)

今年1月、アメリカ合衆国大統領に就任したジョー・バイデン氏は、オバマ政権で副大統領を務めていた2015年、私生活では脳腫瘍で余命宣告を受けた息子を抱え、公務では国内の人種問題や東欧の紛争の調停に追われていた。さらに大統領選出馬への決断の時が刻々と迫っていた……。

バイデン氏を知るにあたって、切っても切れないのが同氏にとっての家族の存在である。過去に交通事故で妻と娘を失い、脳腫瘍で息子を失っているバイデン氏はいかにして数々の苦難に立ち向かい、大統領選出馬への意思を固めたのか。バイデン氏の著書『約束してくれないか、父さん──希望、苦難、そして決意の日々』より、外交ジャーナリスト・元NHKワシントン支局長の手嶋龍一氏による本書紹介文から一部抜粋して掲載する。

■不治の病に襲われた最愛の息子

それはオバマ大統領が再選を果たした翌2013年の夏のことだった。副大統領、ジョー・バイデンは思わず身震いするほどの凶報を受け取った。

長男ボーの脳には腫瘍が巣くっており、手足にも痺れがあり、言葉も乱れはじめていた。良性の腫瘍か、放射線や抗がん剤で治癒が見込めるリンパ腫か、それとも不治の病といわれる膠芽腫(こうがしゅ=グリオブラストーマ)か。ボーを苦しめていた病気の正体を突き止めるため、脳から生体が摘出された。手術を手がけたのは、テキサス・ヒューストンのMDアンダーソンがんセンターの最高権威だ。検査の結果は膠芽腫。病態はもっとも重篤なグレード4だった。

「私はうなだれて床を見つめていた。打ちのめされた思いだった。ロザリオを握りしめ、神に祈った──これに立ち向かう力を、どうか私にお与えくださいと」

『約束してくれないか、父さん──希望、苦難、そして決意の日々』は、現職のアメリカ副大統領が最愛の息子の難病に共に挑んだ勇気のドキュメントだ。長男のボーは家族に支えられ、膠芽腫という難敵に怯まなかった。ウイルスが健康な細胞を攻撃する性質を逆手にとって、膠芽腫を駆逐する生ウイルスの治験にも進んで応じ、戦い続けるさまは凄絶だ。

その一方で、日々押し寄せる副大統領の膨大な公務は、ジョー・バイデンを息子の看病に専心させてはくれない。激務の合間を縫って専用機〈エアフォースツー〉で首都ワシントンからヒューストンに駆けつける。病室の近くに盗聴防止装置のついた通信回線を設え、現地で激戦が続くイラクやウクライナの首脳を呼び出して協議する。

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