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コロナ対策で本当に必要なのは「実践」できる人材 「戦術レベル」で実行できる人は意外に少ない訳

東洋経済オンライン / 2021年9月9日 12時0分

世界エイズ・結核・マラリア対策基金の戦略・投資・効果局長として、世界各国を飛び回る國井修氏。コロナ対策の現状と展望をどう捉えているのだろうか(写真:ロドリゴ・レイズ・マリン/ズマ・プレス/ブルームバーグ)

世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバルファンド)は、三大感染症対策を中心に中・低所得国に資金を提供する国際機関で、2002年にスイスに創設され、4400万人の人命を救ってきた。

同基金の戦略・投資・効果局長として世界各国を飛び回る國井修氏は、コロナ対策の現状と展望をどう考えているのか。

日本政府とWHOで感染症危機管理オペレーションの立ち上げと実行を経験した唯一の日本人、阿部圭史氏の新刊『感染症の国家戦略 日本の安全保障と危機管理』を読み解きつつ、分析する。

■「感染症危機管理」という日本初の試み

戦争は究極の国家の危機であり、過去の戦争の研究から世界は多くの危機管理の術(すべ)を学んできた。特に孫子の「兵法」やクラウゼヴィッツの「戦争論」は、国家の危機管理のみならず、会社経営や組織運営などにも応用できる知恵が詰まっている。

軍事における経験・知恵、そこから導かれた原理・原則は、感染症危機管理にも参考になる。新たな感染症という「未知なる敵」との闘い。その闘いの中で生じる「霧」や「摩擦」。平時の準備(プリペアドネス)の重要性とその中でのヒト、カネ、モノ、そして法の役割。危機時の対応(リスポンス)における指揮統制、インシデント・コマンド・システム、戦略・作戦・戦術の3階層の計画・実施、さらにその上位の大戦略レベルのリーダーシップ・判断の重要性。数えればきりがない。

この軍事における教義(ドクトリン)、それに基づいた教範(マニュアル)を、それと比較しながら感染症危機管理で作ろうとの日本初の試みが、阿部圭史氏が上梓した『感染症の国家戦略』である。感染症危機管理の基本的な思想や原則、目的を明確化し、危機の特性やそれに向かう姿勢、平時の準備、危機時の対応、さらに外交の重要性などについて、さまざまな具体例やケーススタディを示しながら、包括的かつ体系的にまとめた大作である。

本稿では、阿部氏の本で紹介されたいくつかのポイントをピックアップして、私なりの考察を加えてみたい。

■「摩擦」がつきものの長期戦

まず「危機に向かう姿勢」として、No regrets policy(後悔のない対策)を紹介している。これは新たな脅威に対し、その影響を過小評価して最終的に大損害を受けて後悔しないよう、遅いよりは早すぎるくらい、足りないよりは多すぎるくらいの措置を行って損害を最小限に抑えるべきとの原則である。

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