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アフガン撤退の米国、東南アジア外交のちぐはぐ インドネシアを回避、その真の狙いは何なのか

東洋経済オンライン / 2021年9月9日 7時30分

カブールの空港で国外退避のためにアメリカ軍輸送機に乗り込む人々。アメリカ海兵隊提供(写真:AFP=時事)

アフガニスタン・カブール空港で、車輪にしがみつく人々を振り落としながら離陸するアメリカ軍機の動画は世界に衝撃を与えた。20年にわたったアフガン戦争終結の歴史的場面として、同時代の人々の記憶に長くとどまるだろう。

「アメリカは逃げ出す」「アメリカ軍は強くない」

多くの人がそう感じたはずだ。

■既視感にとらわれた東南アジアの国々

アメリカに安全保障をゆだねる国は「明日は我が身」との危惧を抱き、敵対する国は「そら見たことか」と留飲を下げる。そんな中で強いデジャヴ(既視感)にとらわれたのは東南アジアの国々だ。

46年前の1975年、北ベトナム軍の侵攻で、アメリカの支援する南ベトナムの首都サイゴンが陥落した。アメリカ大使館の屋上から館員らがヘリコプターに乗って逃げ出す光景は鮮烈だった。

カブールでもアメリカ大使館から逃避する人々を運ぶヘリが空を舞った。バイデン大統領が7月、「アフガニスタンのアメリカ大使館の屋上から退避する状況を見ることはない。ベトナムとは違う」と断言していたにもかかわらず、だ。

ベトナム戦争では、サイゴン陥落の2年前に結ばれたパリ協定によってアメリカ軍はすでに撤退していたが、アフガンではアメリカ軍が駐留する中でイスラム主義勢力のタリバンに首都が制圧された。「あてにならないアメリカ」は今回、より鮮明に可視化されたといえる。

カブール陥落9日後の8月24日、カマラ・ハリス氏がアメリカの副大統領として初めてベトナムの首都ハノイに降り立った。両国にとって過去の記憶が蘇る、間の悪いタイミングの訪問となった。

ベトナム首脳との会談後の記者会見でハリス氏は、1995年の国交回復以来の米越関係の進展を強調。コロナワクチン供与や温暖化対策について話し合ったとしたうえで、「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)についてのアメリカの考えを再確認するとともに、ベトナムに対する高レベルの安全保障上の協力を続けること、航行の自由とルールに基づく国際秩序を守るため脅威に対抗することを誓った」と話した。

■ハリス氏はサイゴン陥落に言及せず

これは南シナ海の領有権問題で対立するベトナムと中国、双方へ向けたメッセージである。会見ではアフガン撤退についての質問が続いたが、ハリス氏は「アメリカ国民の救出に全力を尽くす」と公式見解を述べるだけで、46年前のサイゴン陥落に触れることはなかった。

ほとんどが国営であるベトナムメディアもアフガン撤退と絡めたり、サイゴン陥落に触れたりする記事を掲載・配信することはなかった。

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