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渚カヲルが何者か掴めない人に知ってほしい視点 碇シンジをめぐる3人の父たちは何を象徴するか

東洋経済オンライン / 2021年9月11日 21時0分

謎めいたキャラクター、渚カヲル(右端)の正体とは?(写真:シン・エヴァンゲリオン劇場版公式サイト)

空白の14年間において、ネルフにおける碇ゲンドウ、冬月、渚カヲル、加持リョウジの立ち位置が変わった――衝撃の事実が、7月11日(日)に新宿バルト9で実施された『シン・エヴァンゲリオン劇場版』フィナーレ舞台挨拶で庵野秀明総監督より語られたという。

背景にはいったい何があるのか。批評家の藤田直哉氏が『シン・エヴァンゲリオン論』にて考察したくだりを、一部抜粋・再構成してお届けする。

(記事中には、物語の内容や映画の結末について触れた箇所もあるため、ネタバレを避けたい方はこれ以上、読み進めないようにくれぐれもご注意ください)

■「渚司令」とはいったい何だったのか

『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の結末近くで、加持が「渚司令」とカヲルに呼びかけるシーンがある。本来なら碇ゲンドウが座っている席に、カヲルがいるのだ。渚カヲルが何者なのか、新劇場版4部作だけを観た者には全く意味が分からないだろう。

作中の設定としては、カヲルはTV版においてはフィフスチルドレン(5人目のエヴァパイロット)であり、第17使徒であった。新劇場版では、第1使徒であり、第13使徒である。

しかし、明らかにそれ以上の意味がある。『シン・』の描写からは、カヲルは何度も何度も時間をループしてシンジを幸福にしようとしている人物であるかのようにも見える。

もっと象徴的なレベルとしては、彼は「父」である。旧劇場版『新世紀エヴァンゲリオン劇場版 Air/まごころを、君に』(以下『EOE』)のクライマックス近く、シンジが「夢」を拒絶するシーンで、綾波とカヲルが対になって登場する場面がある。

綾波レイは母親のクローンであった。それと対になって登場する人物は、父親と何がしかの関係を持っているのではないかと推測される(これを根拠にして、カヲルがゲンドウのコピーであるという説もあった)。『EOE』で、ゲンドウは第1使徒であるアダムを手に取り込んでおり、それが綾波に吸収された後に、巨大綾波になり、同時に巨大カヲルにもなる。だから、カヲルは第1使徒のアダムでもあるのではないかとも推測される。

このような、父と母との象徴性について、『スキゾ・エヴァンゲリオン』(1997)で庵野秀明はこう説明していた。

「(村上龍『愛と幻想のファシズム』は)エディプス・コンプレックスの話ですけれど、僕もこれ(『エヴァ』)をスタートする時同じだなと思った」「ロボット──ということで置き換えることはしたけれど、オリジナルな母親はロボットで、同年代の母親として綾波レイが横にいる。実際の父親も横にいる。全体の流れをつかさどるアダムがもう1人の父としてそこにいるんです。そういう多重構造の中でのエディプス・コンプレックスなんですよ。やりたいのはそこだった」(p86)

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