1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

ワクチン接種を「3カ月早める」ために必要な検証 どの段階で、誰に、どのような権限を与えるか

東洋経済オンライン / 2021年9月16日 7時20分

さらには、東アジアの国々全般では欧米と比較して感染者や重症者が少ないが、その理由として、当初、喧伝されていたBCG接種(欧米ではすでに廃止されているがアジアでは継続されている)との関連よりは、むしろ、当初感染が広がった中国と地政学的近接性が高いにもかかわらず、アジアでは交差免疫(東アジアでは何年か前に今回の新型コロナに抗原性が類似した「コロナ風邪」が流行したため、その罹患者は一定の免疫を有しているという仮説)が存在したとする説が有力である。

■ワクチン接種者の重症化や死亡は極めてまれ

昨年1月に始まった日本における新型コロナウイルスによる感染だが、無観客ではあったが東京オリンピックは開催され、選手団や関係者、報道陣等8万人を超える来日があった。これと感染爆発の因果関係を証明するのは容易ではないが、自粛に伴う長引く緊張感の弛緩が助長された可能性はあるだろう。

ただし毎日の死亡者数は最も多い時期の2分の1程度で、陽性者数の割には少ない。ワクチン接種者はブレークスルー感染を起こすことはあっても重症化や死亡は極めてまれで、すでに接種が進んでいる医療従事者や高齢者の重症例は少ないし、諸外国と比較しても感染者のうち死亡する者の割合(致死率)は低い。

こうした今回の新型コロナウイルス感染症によるパンデミックがもたらした「健康危機」がわが国に問うているのは、何であろうか。

まずは、「平時」と「有事」の切り替えの必要性ではないか。平時には時間もあるし、民主的な手続きをしっかりと踏まえて、民意を反映した施策を実施すればよい。ただし、時間と資源に限りがある有事の際に一定の成果を実現するには、異なった意思決定のモードが必要とされるのではないか。 

次に、「地方分権」と「中央集権」のバランスである。外交や安全保障を除き、自らが居住する自治体において、自らが選んだ首長が事業を実施し、それが気に入らなければ、引っ越すか次回の選挙で意向を反映すればよい。しかし、国全体が巻き込まれたパンデミックで、適切な対応を瞬時に取るための基礎データの把握や、どこに居住していても一定レベルのサービスが享受できるような制度の履行について、過度に自治体の独自性が許容されるのはいかがなものだろうか。

■表面的完璧主義による批判と限られた時間と資源

さらには、目につく「ほころび」を批判する表面的完璧主義と、限られた時間と資源の中で一定の犠牲はやむをえないとしながらも最大限の効果を求めるトリアージとの相克である。一般医療への悪影響を極力防止しようとすれば、自ずとコロナに振り向けられる病床と医療従事者は限定され、それにより犠牲者が生ずることもある。それは目に付きやすいために批判の対象となりやすいが、反対に、脳卒中や心筋梗塞の患者が受け入れられずに死亡者が増加することを回避した点については誰も論評しない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング