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日米はタリバン支配のアフガンにどう対峙するか 米軍撤退後、押さえておきたい地経学の注目点

東洋経済オンライン / 2021年9月20日 9時0分

タリバン暫定政権が発足したアフガニスタン首都カブールの避難民キャンプ(写真:AP/アフロ)

米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。

コロナウイルス危機で先が見えない霧の中にいる今、独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

■逃げ出すようなアフガン撤退

トランプ政権が2020年11月にアフガニスタン政府の頭越しにタリバンと結んだ撤退合意をバイデン政権が引き継ぎ、2021年8月末までに撤退することを受けて、タリバンは急速に勢力を拡大し、アフガニスタン全土を支配下に置いた。

そのスピードと、アフガン政府軍の無抵抗、さらにはタリバンの急速な伸長をバイデン政権は予測できず、準備不足の中で逃げ出すように撤退したことは、世界に大きな衝撃を与えた。タリバンは8月末までは合意を順守し、アメリカ軍の撤退を妨害しなかった。9月に入ってからもカブールの空港からカタール航空による外国人の出国は可能になっており、大きな混乱はみられていない。

9.11同時多発テロから始まった「対テロ戦争」は、20年の時を経て、オサマ・ビン・ラディンを殺害するには至ったが、タリバンを排除し、アフガニスタンに民主主義国家を建設することなく、アメリカ軍が撤退することとなった。

こうしたアメリカ軍の撤退劇は、アメリカの敗北をイメージさせ、アフガニスタンを見捨てたとの評価が多い。はたして、アメリカはアフガニスタンを見捨てるしか方法がなかったのだろうか。「対テロ戦争」の敵であったタリバンが支配するアフガニスタンと、今後どう付き合っていくのだろうか。アメリカ軍のアフガン撤退後のタリバン政権に対して、アメリカや日本が持ちうる権力資源を地経学の観点から検討してみたい

■資産凍結というカード

おそらく、アメリカがタリバンの支配するアフガニスタンに対して使える最高のカードはアフガン政府の保有する資産の凍結であろう。タリバンが支配する前にカブールを脱出したアフマディ・アフガニスタン中央銀行総裁代行は、アフガン中銀が保有する資産は90億ドルであるが、その資産のほとんどはアメリカ国内にあり、週ごとに一部送金されていたことを明らかにしている。

アメリカはアフガン撤退とともに、この資産を凍結した。また、IMFもアフガニスタンに送金予定だった3億7000万ドルを停止し、またアフガニスタンの特別引き出し権(SDR)も認めないとの決定を行った。世界銀行もアフガニスタンに対する支援プロジェクトを凍結した。

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