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「台湾」への改名でジレンマに陥るバイデン政権 「一つの中国」政策をめぐり米中対立の新たな火種に発展

東洋経済オンライン / 2021年9月22日 11時0分

海外にある台湾代表機関の名称を変更する動きがあり、これに中国が敏感に反応している(写真・ Bloomberg Finance LP)

バイデン米大統領が、台湾の在アメリカ代表機関の名称を「台北経済文化代表処」から「台湾代表処」に変更するかどうかをめぐってジレンマに立たされている。中国側は名称変更を「一つの中国」政策の放棄だとし、台湾への経済封鎖や台湾上空飛行に出ると警告。アフガニスタン撤退問題で内外から非難を浴びる中で、習近平国家主席との電話会談で対中関係改善の模索に出ようとした矢先だけに、難しい選択を迫られている。

バイデン氏は「唯一の競争相手」とみる中国との対立のホットスポットとして、台湾に焦点を合わせて圧力をかけてきた。これに対し中国側は、軍用機を台湾上空に接近させ、米中間で「挑発と報復」がエスカレート。日本政府とメディアは「台湾有事」切迫論をあおって、南西諸島での自衛隊の戦力強化の動きを加速させてきた。

■改名で大使召還の外交戦に発展した国も

台湾は、日米をはじめ外交関係のない国に、非公的代表機関(事実上の大使館)として「台北経済文化代表処」という名称の事務所を設立している。今回は蔡英文台湾総統が2021年3月、米中対立激化の中、名称変更をバイデン政権に求めた。

「たかが改名程度で」と軽視してはならない。2021年7月、バルト3国の1つ、リトアニアが台湾代表機関を設立した際、名称を「台湾代表処」とした途端、中国は「一つの中国」政策違反として、リトアニア駐在の中国大使を召還、リトアニアも駐北京大使を召還する「外交戦」に発展した。

改名問題での中国の姿勢を、中国共産党系紙「環球時報」の社説は次のように書く。

「(改名は)ワシントンが『一つの中国』政策を事実上放棄し、台湾問題をめぐる重要変更を意味する。アメリカが(リトアニア)と同様のことをすれば、アメリカの同盟国に広くモデル効果をもたらし、改名の波がそれらの国に及ぶ」

バイデン大統領がゴーサインを出せば、アメリカだけの問題にとどまらず、日本を含め同盟・友好諸国の台湾機関が、同じように名称変更する「ドミノ効果」をもたらす。それは西側世界で「一つの中国」政策を空洞化しかねないとの危機感である。

台湾は国際オリンピック委員会(IOC)に「Chinese Taipei(中華台北)」の名称で参加している。表音文字の英語なら何の誤解も生まないが、「中華台北」を中国側が「中国台北」と表現すると、台湾側は「台湾は中国の一部ではない」と問題視する。

2021年7月の東京オリンピック開会式では、「チャイニーズ・タイペイ」という国立競技場のアナウンスに続き、実況放送したNHKアナウンサーが「台湾です」と紹介したことが、台湾では好意的に受け止められた。一方、中国側は「公共放送が一つの中国を損なうような報道はすべきではない」(「環球時報」)と批判。表意文字は便利なツールだが、政治的には大きな対立要因に発展することもある。

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