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パナソニックが「松下離れ」後に背負う十字架 創業家の世襲問題をめぐる悲喜こもごもを経て

東洋経済オンライン / 2021年9月24日 9時0分

⑦ 世襲批判の機運が盛り上がる中、デベロッパーであり松下家の資産管理会社でもあった松下興産の巨額負債が発覚。和歌山のリゾート施設・マリーナシティなどへの過剰な投資により、最終的に7700億円もの有利子負債を抱えてしまう。同社は松下幸之助氏が1983年まで社長を務め、それ以降は、松下正治氏の娘婿である関根恒雄氏が後任を託されていた。そのこともあり、松下電器が再建することになった。2000年、この問題の責任を取り、正治氏は会長から名誉会長に退き、2001年に関根氏も更迭。2005年に松下興産は清算される。

⑧ 松下家の松下電器への影響力が極めて弱くなり、2000年に中村邦夫氏が6代目社長に就任したことで、「山下発言」以来、社内外で注目され続けた世襲問題は、事実上終結した。松下正幸氏は副会長に棚上げされ、社長になることはなかった。中村氏は「破壊と創造」というスローガンの下、「創業者の経営理念以外はすべて変えていい」と宣言し、不採算拠点の統廃合、事業部制の廃止、主要関連会社の子会社化、人員削減にも手をつけた。

⑨ 2006年、7代目社長に就任した大坪文雄氏は、2008年1月に松下電器産業から「パナソニック」へ社名変更し「松下」を消したが、正幸氏が代表権を持っていたこともあり、創業家との関係をあからさまに軽視したわけではなかった。大坪氏は「真のグローバルエクセレンス(世界的優良企業)になるには、ブランドを統一して全従業員の力を結集する必要があると判断した」「創業家には昨年(2007年)12月に説明し、すぐに賛同してもらった。『会社は社会の公器』など、松下幸之助の経営理念は守っていく」と強調した。

⑩ 2012年に8代目として津賀一宏氏が、続いて2021年に9代目として楠見雄規氏が社長に就任した。松下正幸氏が顔を出さなくなったことで、パナソニックは「ファミリー」とは無縁の会社になった。だが、津賀社長時代の9年間を含めて、パナソニックは30年前と売上高は変わっていない。

■幸之助氏没後に低迷が始まった

つまり、幸之助氏が亡くなってから長期的凋落(低迷)が始まったといえよう。時価総額でもライバル(であった)ソニーに4倍以上の差をつけられ、近隣のキーエンス、ダイキン工業、日本電産、任天堂、村田製作所にも大きく引き離されており、もはや、「関西経済界の盟主」ではなくなってしまった。今、「脱大阪」が注目されているのも皮肉な話である。

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