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新首相を待ち受ける「基礎年金問題」という難題 給付水準低下で高齢の生活保護受給者が増える

東洋経済オンライン / 2021年9月27日 9時0分

ところが、マクロ経済スライドは2014年度まで一度も発動されず、2015年度になって初めて発動された。そのため、今の高齢世代の給付水準はむしろ上がってしまった。引き上げられた状態の給付水準からマクロ経済スライドを発動しなければならず、結果的にマクロ経済スライドをより長期にわたり発動せざるをえなくなった。

これによって何が起きたのか。報酬比例年金である厚生年金も受け取れる人は給付水準の低下はほぼ避けられるが、基礎年金だけは給付水準を大きく引き下げなければならなくなった。厚生年金で給付水準の低下がほぼ避けられる理由は、積立金を多く持っているからだ。積立金が少ない基礎年金は年金保険料率を引き上げない限り、将来の給付水準で調整するしかない。

こうしたことは2019年8月に発表された年金の財政検証で明らかになった。田村厚労相が言及した「新たな仕組み」の検討とは、この現象への対応を意図している。

しかし、問題の本質は基礎年金そのものではない。老後の所得保障をどこまで公的年金で担うかである。この点を、自民党総裁選での政策論議が図らずも浮き彫りにした。

基礎年金の給付水準の低下を抑えるためには、給付財源を何らかの形で確保しなければならない。給付のためのお金は天から降って来ないので、加入者本人にもっと保険料を払ってもらうか、別の加入者が払った保険料を暗黙のうちに使って補助するか、追加で増税するかの3択である。

現行の年金制度は保険料水準固定方式を採用しており、2017年度以降、保険料水準は上がっていない。これをさらに引き上げるとなると、負担増に対する国民の反発は避けられない。

加入者に保険料をもっと払ってもらう方法として、今は60歳になるまで支払う基礎年金の保険料を、支給開始年齢の65歳になるまで払い続けてもらい、基礎年金給付に充てることも考えられる。

■給付を抑えないと、生活保護は増える

しかし、本人が保険料を払えればよいが、保険料未納だと結局給付水準は上がらない。保険料免除という仕組みも使えるが、免除期間に比例して給付は一部カットされる。

別の加入者の保険料を暗黙のうちに使って補助する方法は、報酬比例年金も受け取れる厚生年金加入者が払った保険料の一部を、基礎年金しかもらえない国民年金加入者への給付に回すやり方だ。

両年金の積立金を統合したり、国の年金特別会計での勘定のやりくりを工夫するなどいろいろと考えられそうだが、国民年金加入者が厚生年金加入者に救済してもらうことには変わりない。自分が払った年金保険料は自分の老後の給付のためと思う人々からの反発は避けられないだろう。

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