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新首相を待ち受ける「基礎年金問題」という難題 給付水準低下で高齢の生活保護受給者が増える

東洋経済オンライン / 2021年9月27日 9時0分

したがって、年金保険料を払わない人に給付しない原則へのこだわりを捨て、生活保護受給者となっている低年金の高齢者にも、生活保護制度から脱して、資力調査なしに基礎年金と同様に給付してはどうだろうか。

そのための給付財源は高齢者向けに現在出している生活保護給付の税財源が活用できる。筆者の推計では、65歳以上への生活保護給付に2019年度に2.2兆円の税財源が投じられている。その分だけ、増税せずとも基礎的な給付に充てられる。

高齢者への基礎的な給付を税財源で賄うという発想は、これまで「基礎年金の税方式化」と呼ばれてきた。かつて読売新聞や日本経済新聞も基礎年金の税方式化を提言したことがある。しかし、現行の社会保険方式を支持する考え方もあり、税方式か社会保険方式かをめぐる議論は、神学論争と化した。だが、神学論争に陥れば、改革すべき課題も改革できないまま放置されてしまう。

基礎年金の給付水準の低下は抑える必要がある。それを公的年金制度の枠内だけで議論すると、高齢の生活保護受給者が取りこぼされる。税方式か社会保険方式かの神学論争に陥ることなく、税財源を充てるべき給付と、老後の所得保障をどの制度で行うか。総裁選後の新首相のもとで虚心坦懐に議論すべきである。

土居 丈朗:慶應義塾大学 経済学部教授

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