1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

乗客は知らない新幹線「パンタグラフ」めぐる憂鬱 JR西、冬の朝のツラい「監視当番」をAIが代行

東洋経済オンライン / 2021年9月29日 6時30分

新幹線の高速走行を支えるパンタグラフ。冬場の監視業務は車両所社員の負担になっていた(記者撮影)

JR西日本が運行する山陽新幹線。西の大動脈として新大阪―博多間の各都市を結び、在来線に乗り継いで四国や山陰と行き来するにも欠かせない存在だ。最高速度は時速300kmと、東北新幹線の時速320kmに次ぐ高速運転で、東海道新幹線から直通するN700系も西日本エリアで実力を遺憾なく発揮している。

■1編成に2基しかない

車両の屋根の上にあって細い腕ながら架線に流れる電気を車両に取り込み、高速運転を支えているのが集電装置のパンタグラフだ。かつてパンタグラフと言えばひし形のイメージが強かったが、現在は在来線でも「くの字」になったシングルアーム型の採用が増えている。シングルアーム型は空力特性と騒音対策に優れているほか、着雪の影響を受けにくいメリットがある。

「初代の0系新幹線には2両ごとに1編成(16両)で計8基のパンタグラフがありましたが、現在のN700系などでは1編成に2基だけとなっています」。こう語るのは京都鉄道博物館の学芸員、島崇さん。「新幹線は高速で走行するので騒音や集電不良を防ぐためにパンタグラフにいろいろな工夫が施されています」と説明する。同博物館では0系車両の内部で新幹線用に開発された「下部交差型」のパンタグラフを展示している。

また、世界で初めて時速300kmでの営業運転を実現した500系のパンタグラフは、T型の柱が直立する仕組み。独特の形状は走行時の風切り音を軽減する目的で設計されたが、16両編成から現在の8両編成に短縮される際にシングルアーム型に取り換えられた。同博物館では誰でも非接触型のセンサーに手をかざすだけでパンタグラフを起動させることもできる。通常は見ることができない角度と距離でじっくりと観察できるのは博物館ならではの利点と言える。

新幹線車両の進化とともに改良が加えられてきたパンタグラフ。現役車両を見ても、在来線には見られない特徴があることがわかる。上部の「ホーン」と呼ぶ横に突き出た棒に開けた穴や、側面の2面側壁は騒音を軽減する狙いがある。下部の風防カバーも騒音対策だが、空気の流れを整えて揚力の急な変動を抑える意味もある。

さらに架線と接触する「すり板」は、在来線では2枚が並んでいるが、新幹線は1枚にして、部品点数削減と軽量化を図っている。このすり板は架線との摩擦によってすり減ってしまう消耗品。東京―博多間を走るような編成の場合、1日の走行距離が3000kmから4000kmに及ぶため、 3日か4日で取り換える必要があるという。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング