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間違いなく「悪い円安」が日本経済を蝕んでいく 円安万能論を捨て、日銀は正常化を示唆すべき

東洋経済オンライン / 2021年10月15日 8時0分

黒田日銀総裁の任期は2023年4月まで。その前に波乱も?(写真:Bloomberg)

今の日本経済が直面している円安はどう見ても「悪い円安」である。

2013年ごろに円安志向のアベノミクスを批判する人々の基本認識は「もはや輸出が増えない円安には、持続的な景気浮揚効果はない」というものだった。当時はそのような主張をするとひどく叩かれたものだ。最近では景気回復には円安が必要だと主張する人のほうがだいぶ減ったのではないか。円安・株高を主軸とする景気回復には往々にして海外への所得流出が伴い、たいていの場合、「実感なき景気回復」であると揶揄されてきた。

アベノミクス下での景気回復(2012年11月から2018年10月までの71カ月間)でも、それ以前の小泉政権下で実現した戦後最長の景気回復(通称:いざなみ景気、2002年2月から2008年2月までの73カ月間)でも、そうした揶揄は付いて回った。一般国民が何をもって景気回復を「実感」するかは曖昧だが、やはり雇用・所得環境が肌感覚に近いだろう。アベノミクス下では雇用の「量」は回復が著しかったものの、所得(賃金)に関しては失望を買った。

■「実感なき景気回復」の正体

実質ベースで見た国内の所得環境を捉える計数に実質国内総所得(GDI)がある。実質GDIは、実質GDP(国内総生産)に交易利得を足した(あるいは交易損失を引いた)概念である。ある基準年から、交易条件(輸出物価÷輸入物価)が改善していくと交易利得が増えるか交易損失が減る。悪化していくと交易利得が減るか交易損失が増えていく。

交易損失は、企業にとっては仕入価格の上昇を販売価格に転嫁できていないことを示し、企業収益の圧迫を意味する。マクロ経済全体にとっては海外への所得流出と同義だ。そんな状況で雇用・賃金情勢が持続的に改善していくものでないことには、多くの説明を要しないだろう。

例えば、下図に示すように、2000年代の円安局面では交易利得の縮小(2005~2007年)ないし交易損失の拡大(2013~2015年)がみられた。円安による輸入物価上昇が交易条件を悪化させ、実質ベースで見た国内総所得(GDI)の伸びを抑制するのである。

(外部配信先では図表を閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

とりわけアベノミクスが喧伝された2012年以降、経済を生産面から見る実質GDPに対して、所得面から見る実質GDIが劣後しているのがわかる。この差が交易損失であり、「GDPの仕上がりが良くても景気回復の実感がない」理由だと筆者は考えている。「実感なき景気回復」の一因として交易条件の悪化(≒交易損失)は看過できない。

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