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米英豪の協力強化が中国との新冷戦を象徴する訳 日本は最前線に臨む覚悟で日米同盟を進化させよ

東洋経済オンライン / 2021年10月18日 9時0分

AUKUS(米英豪)が意味することは? (写真:mirai4192/PIXTA)

米中貿易戦争により幕を開けた、国家が地政学的な目的のために経済を手段として使う「地経学」の時代。

独立したグローバルなシンクタンク「アジア・パシフィック・イニシアティブ(API)」の専門家が、コロナウイルス後の国際政治と世界経済の新たな潮流の兆しをいち早く見つけ、その地政学的かつ地経学的重要性を考察し、日本の国益と戦略にとっての意味合いを、順次配信していく。

■米英豪が中国との「新冷戦」を戦う決意表明

アフガン撤退の波紋がいまだ収まらない9月15日、アメリカとイギリス、オーストラリアが新たな安全保障協力の枠組み「AUKUS」の設置を宣言した。AUKUSの目的は、「情報と技術をより深く共有し、安全保障・防衛関連の科学、技術、産業基盤および供給網をより深く統合し、特に、幅広い安全保障・防衛能力に関するより深い協力を促進する」こととされた。

その第1弾の取り組みとして、イギリス・アメリカはオーストラリア海軍の原子力潜水艦保有を支援する。原子力潜水艦は最も機微な戦略的技術の塊であり、アメリカはこれまでイギリス以外に提供した例はなく、これを契機に核拡散や地域軍拡等の悪影響を懸念する声がある。また、通常型潜水艦の開発・建造契約を一方的に破棄されたフランスはもとより、日本やほかの同盟国・同志国にとっても「蚊帳の外」の扱いには大きな違和感もある。

さらに、今後18カ月で3カ国が細部を協議する事業の実現にはさまざまな困難が予期されるが、この宣言は米英豪が中国との「新冷戦」を戦う決意表明と受け止める必要がある。日本はAUKUSの持つ戦略的意義を踏まえ、違和感を乗り越えてAUKUSを含むインド太平洋の新たな枠組みに積極的に関与することが求められる。

原子力潜水艦には、弾道ミサイル(SLBM)を搭載する戦略ミサイル原潜(SSBN)と魚雷や巡航ミサイルを搭載する攻撃型原潜(SSN)の2種類があり、オーストラリア海軍が保有を目指すのはSSNである。

SSBNは戦略核戦力の中でも第2撃報復能力を保障する抑止力の最終担保であり、一方SSNの任務は「敵の潜水艦や水上艦の捜索および破壊、トマホーク巡航ミサイルや特殊作戦部隊(SOF)による陸上への戦力投射、情報・監視・偵察(ISR)任務の実行、戦闘群の作戦の支援、機雷戦への関与」(アメリカ海軍概要書、SSN開発目的)と幅広い。米ソ冷戦時代は、ソ連がSSBNの聖域化を図るバレンツ海とオホーツク海が潜水艦戦の主戦場であった。AUKUSがにらむのは、中国が九段線で囲い込み、人工島で軍事化を進める南シナ海だ。

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