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ドリームキャストの壮大な失敗に見た多大な教訓 工程の中で重要なボトルネックはどこなのか

東洋経済オンライン / 2021年10月21日 17時0分

その存在を覚えている30~40代以上のゲームファンも少なくないだろう(撮影:尾形文繁)

なぜトップ企業が膨大なコストをかけた新規事業は失敗に終わったのか。世界有数の企業20社の製品・サービスの事例を分析した新著『世界「失敗」製品図鑑』を上梓した荒木博行氏が全3回で3社のケースを読み解きます。

第2回は「セガ・エンタープライゼス/ドリームキャスト」編。「ゲームと通信の融合」という斬新なコンセプト、競合を圧倒するスペック、キャッチーなCM戦略と成功の条件がそろいつつも、会社が傾くほどの大赤字を生んでしまったドリームキャスト事業。1つの歯車からすべての計算が狂ってしまったその苦い道程から、私たちが学ぶべき教訓とは?(本稿は新刊一部を再編集したものです)。

■ゲームと通信を融合させた、次世代ゲーム機

1998年11月27日、セガ・エンタープライゼス(以下セガ)は新型ゲーム機「ドリームキャスト」を発売しました。

ドリームキャストは、1994年に発売された「セガサターン」の後継機です。セガサターンは1996年までは同時期に発売されたソニーの「プレイステーション」を抑えてシェアNo.1を維持していました。

しかし、セガサターンの春は短く、部品の確保に失敗して販売機会を逃したり、「ファイナルファンタジー」の新作ソフトをめぐる争奪戦に敗れたりと、プレイステーションに主導権を奪われていきます。

1998年3月にセガは433億円の特別損失を計上し、セガサターン事業の撤退を決定。上場後初の経常赤字に転落し、社長だった中山隼雄氏は業績不振やバンダイとの合併破談の責任を取って、社長職を退きます。

このタイミングで、発売されるドリームキャストは、新任の入交昭一郎社長にとっても決して失敗できないチャレンジでした。

ドリームキャストの最大の特徴は、入交社長がこだわった「ゲームと通信の融合」にあります。通信モデムを内蔵し、対戦ゲームや多人数参加型のロールプレイングゲームなど、高速回線を使ったネットワークゲームを可能にしました。来るべき高速通信時代に適応したコンセプトを一足先駆けて実現したのです。

スペック面でもライバル機を圧倒していました。ゲーム機のOSとしては世界で初となるマイクロソフト「ウィンドウズCE」や、NECとビデオロジック社が共同開発した「PowerVR2」を搭載。ほかのゲーム機にはない立体感に富んだ3次元映像が楽しめました。

セガサターン失敗の要因の1つと言われていたソフトメーカーの巻き込みについてもテコ入れが図られました。ソフトメーカーが参加しやすい環境を整え、入交社長はじめ経営陣が各社を口説いて回りました。プレイステーションのソフトが頭打ちになってきた背景も相まって、約320社のソフトメーカーがドリームキャスト開発に賛同します。この数字はセガサターン立ち上げ時のおよそ2倍です。

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