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「片頭痛治療」で実は画期的な変化が起きている 相次ぐ新薬の登場は単なる偶然ではなかった

東洋経済オンライン / 2021年10月24日 8時0分

頭痛持ちは若い女性に多いとされる(写真:Claudia/PIXTA)

月に何日も頭がズキズキ痛んで仕事や家事が手に付かない――。そんな厄介な「片頭痛」の痛みに悩まされている人には朗報かもしれない。

2021年に入ってから、片頭痛の発作を予防する新しい薬が相次いで発売されている。4月に発売された日本イーライリリー・第一三共の「エムガルティ」に続き、8月にはアムジェンの「アイモビーグ」、大塚製薬の「アジョビ」といった薬が登場。まさに新薬発売ラッシュといった状況で、こうした片頭痛の薬が国内で新しく発売されるのは、およそ20年ぶりだ。

この状況について専門家は、「新しい薬はこれまでの薬とは作用するメカニズムも違い、科学的にも画期的。まさに片頭痛治療のパラダイムシフトが起きているまっただ中」(獨協医科大学副学長で日本頭痛学会代表理事の平田幸一氏)と解説する。

■30~40代の女性に多い病気

片頭痛の患者は国内に840万人いるといわれる。特に多いのは30〜40代の女性で、有病率は男性の4倍と推計されている。頭の片側が心臓の鼓動に合わせたようにズキズキと痛み、症状が重くなると吐き気が出ることもある。

頭痛が起こるトリガーはさまざまだが、周りの音のうるささやまぶしい光が原因になるケースが多いようだ。特定の香りがきっかけになることも多く、患者には香水やたばこ、ヒノキの匂いが苦手な人が多いという。

頭痛持ちの日本人の中で最も多いのは片頭痛ではなく、「緊張型頭痛」と呼ばれるタイプだ。こちらは、一部がズキズキと痛む片頭痛とは違って頭の全体が締め付けられるように痛むのが特徴。体を動かしたり頭を温めたりすると症状は緩和するが、こうした対処法は片頭痛とは真逆で、慣れていないと患者個人では見極めが厄介でもある。

「『たかが頭痛』と思われがちだが、症状が重いと寝込んでしまったり、そうでなくても仕事や家事が手に付かなくなってしまったりと、生活の質は大きく低下してしまう」(平田氏)。日本頭痛学会では、生産性の低下による経済損失は年間2880億円にもなるという試算も出している。

現在の治療で広く使われている「トリプタン」という薬は、日本では2000年から処方されるようになっている。だが予防薬ではなく症状が出てから使う薬であるうえ、症状が重い人にとって効き目は弱く、新しい薬が待ち望まれていた。そこに登場したのが冒頭の新薬3つだ。

患者数の多い疾患であるにもかかわらず、片頭痛が起きるはっきりした原因はこれまでわかっていなかった。痛みが起きるメカニズムにはいくつかの説が提唱されてきたものの、2010年代になり、ようやく悪さをしていた”犯人”を捕えた。それは、顔の感覚を脳に伝える神経から放出される「CGRP」という物質だった。

■新薬の開発が一斉にスタート

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