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米中対立を「中立的サプライチェーン」で生き残る 「生産分散」「技術的中立性」「地産地消」の3条件

東洋経済オンライン / 2021年10月26日 11時30分

激化するアメリカと中国の対立の中で、日本の課題となる「デカップリング」下におけるサプライチェーンの今後のあり方について考える(写真:MatsuP/PIXTA)

米中対立の激化に伴い、「西太平洋」地域をめぐる安全保障情勢が喧しくなってきている。

このような状況下で上梓された『西太平洋連合のすすめ 日本の「新しい地政学」』(北岡伸一編)では、「米中対立」時代に日本が生き残る道として、日本、東南アジア諸国、オーストラリア、ニュージーランド、太平洋島嶼国などによる「柔らかな民主主義の連合体」として「西太平洋連合」構想を提示している。

本稿では同書でベトナムと同構想について論じた池部亮氏が、ベトナム、そして日本にとっても喫緊の課題である「デカップリング」下におけるサプライチェーンの今後のあり方について論じる。

■関税合戦のゆくえ

2018年頃から米中対立が先鋭化し、アメリカが中国に対して制裁関税を課し、中国は報復関税でこれに応酬した。アメリカが第一弾、第二弾と制裁関税の対象品目を順次拡大するなか、中国はやられた分だけやり返す戦略で淡々と報復を重ねていった。貿易戦争とまで呼ばれた米中間の激しい関税合戦は両国貿易協議によって2020年1月に「第一段階の合意」に達し、これ以上の悪化はひとまず回避されたのであった。

バイデン政権となった現在、第一段階の合意の積み残し事項の米中協議の再開が報じられるが、双方が高い関税を課す状態は依然続いている。

両国が高関税をかけ合う状態が続くと、アメリカ市場では中国からの輸入品に25%もの制裁関税が課されるので中国製品の末端価格は上昇せざるをえない。価格が上がれば売れなくなるので輸入者や販売企業は中国以外の産地からの輸入に切り替えようとする。これが貿易転換効果と呼ばれるもので、工業製品の場合は生産工場の移転などを伴うことから生産立地の転換をも引きおこす。米中貿易摩擦によって、ベトナムがこの受け皿となり、中国からの工場移転が進んでいる。

こうした貿易転換効果による生産移管の典型的な品目が電気機械、一般機械、家具、鉄鋼製品、衣類などである。トランプ前大統領はベトナムを「貿易の最大の悪用者」と非難し、2020年末にはベトナムが人為的に自国通貨を切り下げているとして為替操作国に認定した。バイデン政権誕生以降、2021年4月にはベトナムは為替操作国の再認定を免れ、2021年7月にようやく為替操作の疑念は晴れた。

アメリカの貿易赤字全体に占める対中貿易赤字額の割合は、2017年の46%から2020年には34%に低下し、代わりにベトナムが5%から8%へと拡大した。現在、アメリカにとってベトナムは中国、メキシコに次いで大きな赤字をもたらす貿易相手国となった。

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