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「医療従事者にワクチン義務化」の英国に潜む懸念 「コロナ再拡大の震源地にいる」欧州の苦悩

東洋経済オンライン / 2021年11月13日 10時30分

イギリスでは医療従事者などへの3回目の接種も始まっている(写真:PA Images/アフロ)

欧州は今、新型コロナウイルスの感染再拡大に見舞われ、緩めた感染防止対策の引き締めに舵を切っている。世界保健機関(WHO)欧州地域事務局のハンス・クルーゲ事務局長は「われわれは再び(感染の)震源地にいる」と述べ、原因としてマスクや接触制限などの感染防止対策の緩和と、ワクチン接種が行き届いていないことを指摘した。

今、欧州の街を歩くと、多くの国々ではマスク着用者は少なく、コロナ前の日常に戻っている感は強い。イギリスのジョンソン首相は「感染者はいても重症化していない」と主張している。

だが、イギリスの直近1週間の平均新規感染者数は11月10日時点で3万3477人。10月のピーク時の7日間平均の4万7209人からは減少しているものの、今年8月以降、高止まりを続けている。このまま減少するかは専門家の間でも意見が分かれているが、急速な減少は望めないとの見方が強い。

この状況に国民医療サービス(NHS)の医療現場は、危機感をあらわにしている。イギリスではイングランドの医療従事者のワクチン未接種者が約10万人いると見られる。

■ワクチン義務化で医療スタッフが不足する可能性

ジャビド保健相は11月9日、イングランドにあるNHS所属の病院で働く医療従事者に対して、ワクチン接種を義務づけると発表した。ジャビド氏は議会で、「NHSおよびソーシャルケア部門の医療従事者は、ワクチン接種が義務となる。NHSが受け持つ患者とそこで働く医療従事者ら、さらにはNHS自体を保護するのに役立つ」と訴えた。

保健省によると、NHSの最前線のスタッフの93%以上が最初のワクチン接種を受けており、90%が2回目の接種を終えているという。だが、イギリスのメディアは、ワクチン未接種の一部の医療従事者は退職する可能性もあり、医療スタッフ不足が深刻化する可能性があると指摘している。

医療従事者の未接種の理由は、医療従事者だからこそ、ワクチンの安全性に疑問があるという人、すでにコロナ感染経験があり、抗体があるのでワクチン接種は必要ないと考えている人、SNSなどで広まったさまざまな陰謀説を信じて接種しない人などさまざまだ。

4つの行政区に分かれるイギリスでは、スコットランドとウェールズは、NHS従事者や介護施設のスタッフにワクチン接種を義務づける提案をしている一方、北アイルランドは明確な方針を出していない。

イギリス政府はワクチン接種が医療従事者自身を守るだけでなく、直接接触する患者を守り、ひいては感染拡大を防ぐことにつながることを理解してほしいと望んでいるが、結果的に接種を拒否する医療従事者がNHSから身を引き、医療現場の逼迫につながるリスクへの考慮も求められている。

■一足先に義務化を実施したフランス

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