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「第3の歴史決議」で見えた習近平の権力と脆弱性 「中国の特色ある社会主義」とは共産党一党独裁

東洋経済オンライン / 2021年11月23日 6時30分

マルクス主義という普遍性を求めるイデオロギーと中国の伝統文化という特殊な空間をどう結び付けるのかがよくわからない。それ以上に、毛沢東、鄧小平、江沢民、胡錦涛という歴代の指導者の掲げた思想のすべてを堅持するというのは、過去に指導者同士が対峙したり、後継者が前任者を否定してきたりした歴史を考えると、成り立たないことであるはずだ。

日本政治に例えれば、「軽武装経済優先」の吉田ドクトリンと、「日米安保改定」の岸信介、「所得倍増論」の池田勇人、「列島改造論」の田中角栄、「財政均衡論」の福田赳夫ら戦後の主だった首相の政策や理念をすべて堅持すると言っているようなものだ。

■「中国の特色ある社会主義」とは共産党の一党独裁

今回の決議は、毛沢東時代の「文化大革命」を「まったく誤った判断」と表現するなど一部の歴史を批判しているが、これまで同様、毛沢東そのものを全面否定はせず、相変わらず、中国共産党は間違ったことをしてこなかったという無謬性を重視する立場に立っている。つまり、過去の指導者の思想を堅持することは一党支配の無謬性や正統性を維持するためには不可欠なのだ。だから、習近平氏にとって歴代指導者の「思想の堅持」はおそらく建前にすぎない。

本音は「中国の特色ある社会主義」に関するさらに踏み込んだ説明部分にあるだろう。そこでは以下のように書かれている。

「中国の特色ある社会主義の最も本質的な特徴は中国共産党の指導であり、中国の特色ある社会主義制度の最大の優位性は中国共産党の指導であり、中国共産党は最高の政治的指導勢力である」
 「改革の全面的深化の総目標は、中国の特色ある社会主義制度を充実・発展させ、国家統治体系・統治能力の現代化を推し進めることである」
 「新時代における党の軍隊強化の目標は、『党の指揮に従い、戦闘に勝利できる、優れた気風をもつ』人民軍隊を建設し、人民軍隊を世界一流の軍隊に築き上げることだ」

要するに共産党だけが支配する政治体制が「中国の特色ある社会主義」ということなのだ。その目標である「中華民族の偉大なる復興」とは、軍事的にも経済的にもアメリカに匹敵する、あるいはアメリカを上回る国家の建設ということだ。このあたりは特に目新しいものではなく、習近平氏がこれまでも繰り返し主張してきたことだ。

経済や軍事についての具体的な政策的目標の数値などは一切、登場しない。つまりこの決議文はあくまでも政治的文書であって、国民に対し政策を提示した文書ではないのである。その結果、習近平氏がどういう社会を目指しているのかが余計にわかりにくくなっているのだ。

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