コロナ政局で露呈した日本政治「統治不全」の深刻 岸田首相「新しい資本主義」に決定的に欠けたもの
東洋経済オンライン / 2021年12月22日 10時0分
菅義偉首相の退陣表明から始まった2021年の政変は、後継首相に岸田文雄氏が就き、衆院の解散・総選挙で自民党が絶対安定多数を維持、岸田首相が日本のかじ取りを担うことになった。2020年夏の安倍晋三首相の退陣を含め、日本の政治は新型コロナウイルスの感染拡大に翻弄された。
その底流に見えるのは、重大な危機に対応すべきガバナンス(統治)能力の欠如である。感染者を救うための医療体制、困窮世帯を支援する給付金の支払い……。与野党は各種の対策を掲げるが、本質的な問題を解決できない政治システムは温存されたままだ。
■「自民党祭り」となった秋の政局
10月31日投開票の総選挙は、自民党にとって、まさに「命拾い」となった。菅政権が続いていたら70議席以上を減らし政権から転落することさえ予想されていた。
だが、菅氏の総裁選出馬断念→自民党総裁選→岸田新首相の選出と続いた秋の政局は「自民党祭り」となり、支持回復につながった。リベラル派の岸田氏は「聞く力」をアピールし、新自由主義的な経済運営を否定。安倍・菅政権との「違い」を際立たせた。
菅政権を標的に政権交代を狙っていた立憲民主党にとっては肩透かしとなった。共産党との「限定的な閣外協力」も支持は広がらず、総選挙では議席を110から96に減らす結果となった。枝野幸男代表は辞任し、後継の代表には泉健太氏が就いた。
1980年代から日本政治をウォッチしてきた政治記者として、一連の政局の背景を考察してみたい。
1980年代後半、日本政治は大きな転機を迎えていた。アメリカとソ連の冷戦構造は崩壊、高度経済成長は終焉し、少子高齢化の波が押し寄せていた。リクルート事件などスキャンダルも頻発、自民党支配は大きく揺れたが、消費税を導入して社会保障の財源をどうにか確保した。
自民、社会両党による55年体制は制度疲労をきたし、1990年代には政治改革が唱えられた。1993年、自民党が初めて下野して非自民政権が発足。衆院に小選挙区比例代表並立制を導入する政治改革が実現した。
それでも、不良債権問題などで経済の低迷は続く。
2001年に「改革」を掲げた小泉純一郎首相が登場。郵政民営化を強行したが、抜本的な構造改革は進まなかった。
2009年には民主党が政権を奪取、本格的な政権交代となった。事業仕分けなどで行政改革を進めようとしたものの、成果が出ないまま、3年あまりで政権を自民党に引き渡した。
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