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静岡リニア「トンネル湧水全量戻し」本当の問題点 有識者会議の結論は妥当だったが静岡県は反発

東洋経済オンライン / 2022年1月5日 6時30分

2021年12月19日に開催されたリニア有識者会議(編集部撮影)

南アルプス・リニアトンネルに伴う大井川の水環境問題を議論した国の有識者会議の結論(中間報告)が2021年12月19日に取りまとめられた。その結論は以下のとおりだ。

1) トンネル湧水量の全量を大井川に戻すことで中下流域の河川流量は維持される。
2) トンネル掘削による中下流域の地下水量への影響は、極めて小さい。

ところが、翌日の静岡県内の朝刊各紙は『湧水全量戻し 示さず』(中日)、『全量戻し 方法示さず』(静岡)、『水「全量戻し」議論残る』(朝日)などの大見出しで、中間報告への疑問を投げかけた。

静岡県の川勝平太知事は会見で、「全量戻しができるのかできないのかわからないのが中間報告を読んでの率直な感想。全量戻せないならばおそらくは工事はできないだろうと思う人が多い」と述べ、約2年間もかけた議論を粉々に打ち砕いてしまった。

「全量戻し」とはいったい、何か。国は流域住民に有識者会議の結論をわかりやすく伝えなければ、リニア静岡工区の着工は遠のいたままだ。

■「全量戻し問題」の発端は?

JR東海は2013年9月、環境アセス準備書の中で「トンネル工事によって、大井川上流部の流量が毎秒2㎥減少する」と予測した。この予測に対して、静岡県は「毎秒2立方メートル減少するメカニズムを関係者に分かりやすく説明するとともに(中略)同施設内の湧水を大井川へ戻す対策をとることを求める」などの知事意見書を提出した。

JR東海は2015年11月、トンネル内の湧水減量分の6割強、毎秒1.3立方メートルをリニアトンネルから大井川までの導水路トンネル設置で回復させ、残り0.7立方メートルは『必要に応じて』ポンプアップで戻す対策を明らかにした。

JR東海の対策に、川勝知事は「62万人の“命の水”が失われる。全量を戻してもらう。これは県民の生死に関わる」などと反発、流域住民らは知事を強く支援した。『必要に応じて』の対策では「県民の生死に関わる」としたから、知事は「減少する毎秒2立方メートルの全量戻し」を主張、工事の着工を認めない方針を示した。これが「全量戻し」問題の始まりだった。

その後、県は減量分の毎秒2立方メートルだけでなく、トンネル内の湧水全量を試算して、そのすべてを戻せとハードルを上げた。県の求めに応じて、JR東海は2018年10月になって、『原則としてトンネル湧水の全量を大井川に戻す措置を実施する』と表明した。減量分の毎秒2立方メートルだけでなく、湧水全量を毎秒2.67立方メートルと試算、その全量を戻すとしたのだ。この表明で、川勝知事の“命の水”問題は解決したはずだった。

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