アメリカ株は「懸念すべき投資先」になりつつある 今年は短期的にマイナス成長の懸念も出てきた
東洋経済オンライン / 2022年1月23日 9時30分
筆者は昨年12月26日のコラム「2022年の米国株はあまり上昇しないかもしれない」で、「2022年のアメリカ株市場には大きな期待は難しい」と述べた。そして、昨年末からこの年明けにみられた出来事の多くは、同国株市場に対して慎重な筆者の見方をさらに強めた。
■2022年のアメリカは短期的にマイナス成長の時期も
まずオミクロン株については、昨年12月半ばまで同国経済への悪影響は極めて限定的だった。だが年末から感染者の数が急増して、現在は感染者だけの数をとれば、デルタ株のときをはるかに大きく超えて増加中だ。
もちろん、オミクロン株は弱毒化しているとみられ、アメリカなどにおいても死者率は低い。ただ、入院患者数が昨年半ばを上回って増えており、経済活動への悪影響は昨年半ばのデルタ株感染拡大時よりも大きくなっている。例えば、1月中旬までに判明しているレストラン予約数の落ち込みは、2021年半ばよりも大きくなっている。
2021年のアメリカ経済は、コロナ感染の波があっても総じて高成長が続いた。家計への現金給付などの財政政策による景気押し上げ効果がとても大きかったので、コロナ感染の悪影響がほとんど相殺された。
だが、2022年は、財政政策による家計所得を支える政策はほとんどなくなる。昨年可決すると見られたビルトバックベター(より良い復興計画)は、1人の民主党議員が反対を貫いたことで、いつ実現するかわからない情勢になった。このプランについては規模が縮小されて実現する可能性は残るが、子育て世帯への税額控除が2022年から取りやめになるので、1月から家計所得は2021年対比で約1%分目減りすると試算される。
財政政策が家計所得を減らす中で、オミクロン株の流行がもたらすアメリカ経済への悪影響は、2021年とは異なり顕在化するとみられる。2022年1~3月期のGDP成長率は前期比年率+1%前後に急減速する、と筆者は現時点で予想している。さらに、オミクロン変異株の感染が、中国製ワクチンに頼っている新興国に広がる過程で、昨年起きたグローバルサプライチェーンの混乱が再び起きて製造業の生産活動が滞れば、アメリカ経済が短期的にマイナス成長まで下振れる可能性が出てくるだろう。
経済が減速しても、FRB(連邦準備制度理事会)による金融緩和政策によって下振れリスクが緩和するのであれば、株式市場にとって問題は大きくならないだろう。だが、インフレ沈静化を最重視するFRBの政策姿勢はかなり強まっている。すでに、3月FOMC(連邦公開市場委員会)での利上げ開始について、ジェローム・パウエル議長を含めたハト派メンバーのほとんどが利上げ開始に賛同しており、その後は継続的に利上げを行う方向にメンバーの意見が集約されつつある。
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