年々増える「古民家カフェ」が失敗しやすい2つの訳 歴史の遺産にあぐらをかいてはいけない
東洋経済オンライン / 2023年11月19日 16時0分
その地域の持つ歴史的な魅力を活用して観光振興に取り組もうと考えたとき、空き家となっている古民家を改装してカフェとして営業したり、そのような飲食店に補助金を出したりする地域は多くあります。しかし、開業数が増えていく中で、古民家カフェによる観光振興の「失敗例」も増えてきています。その理由を解説します。
※本稿は久保健治氏の新著『ヒストリカル・ブランディング 脱コモディティ化の地域ブランド論』から一部抜粋・再構成したものです。
「古民家」の活用を積極展開したが…
Cさんの地域には、代々受け継がれてきた家が多い。しかし、時代の流れで子孫の多くは他地域に住んでおり、それらの一部は今まで空き家になってしまっていた。地域を盛り上げていかなければという声が出てくるなか、古民家を活用する事例があることを知った。
Cさんの地域には古民家を活用したカフェなどは存在していなかったが、調査してみると、古民家カフェはここ数年で開業数が伸び続けており、注目されているようだ。
そこで、カフェへのリノベーションを検討した。幸い、補助金なども出ることになり、費用面でも条件をクリアし、開業に至った。
まちおこしの一環ということもあり、運営は地元のまちおこしNPOに委託する形でスタートした。料理はレストランで勤務したことがあるメンバーがいたので頼むことにした。だが、1名だけではなかなか多くの注文に対応することもできないので、人を増やすなど、対策をした。
オープン当初は地元紙なども取り上げてくれた関係で、お客様にも来てもらえたのだが、しばらくすると閑散とするようになってきた。
調べてみると、隣町で新しい古民家カフェができており、そちらのほうは盛況だという。
お客を取りもどすために、より美味しいものをより安く提供すべく、働く人数を減らし人件費を削減して対応するようにした。安さでは負けないようになったのだが、なかなかお客が戻らない状況が続いている。
いまは何とか補助金などで補塡しているが、このままでは経営が成り立たない状況になってしまいそうだ。
オープン当初に客が来たのはすごいこと
この事例は飲食店関係者であれば、絵に描いたような失敗事例だと思うだろうが、現実に存在する事例である。このケースは、補助金依存発想から生まれてしまったことも大きな課題なのだが、そういった指摘は他の書籍などに譲ることにして、ここでは古民家活用に関して考えてみたい。
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