納得の「サプライズ社長人事」映すドコモの現在地 新体制下で「iモード時代の復活」期待する声も
東洋経済オンライン / 2024年5月16日 7時20分
ドコモの“これから”が垣間見える、サプライズ人事だった。
【写真で見る】NTTドコモの現社長と次期社長のツーショット。現社長の井伊基之氏は、井伊直弼の子孫に当たる
NTTグループは5月10日、主力事業会社のNTTドコモ、NTTデータグループ、NTTコミュニケーションズ(コム)の3社トップが6月中に交代すると発表した。近年の大規模なグループ再編を主導したNTT持ち株会社の澤田純会長の代表権も外れることになり、「新世代に次の戦略を構築してもらいたい」(島田明社長)との期待が込められた体制刷新となった。
中でも注目を集めたのが、グループの稼ぎ頭であるドコモだ。井伊基之社長(65)が退任し、スマートライフ事業(金融・決済等)を統括する前田義晃副社長(54)が次期社長となることが決まった。
リクルート出身だが「ほぼプロパー」
「通信分野とは違い、いろんな領域のビジネスに取り組んできた。『当事者意識を持つ』、『チャレンジをする』、そしてたくさんのパートナーの方々とビジネスを行ってきたので、『リスペクトをする』。この3つを自分は大事にしている」
5月10日の記者会見で、新社長に就任する前田氏は自身の強みを問われ、そう答えた。前田氏は新卒で入ったリクルートを経て、「iモード」が一世を風靡していた2000年にドコモに入社。インターネット、コンテンツ、プラットフォームビジネス畑を歩み、共通ポイント「dポイント」や決済サービス「d払い」事業などに携わってきた。
携帯電話料金が値下がりし、国内消費者の携帯利用も伸び悩む中、ドコモは金融や法人といった、個人向け通信以外の分野に注力している。前田氏は昨年のマネックスとの資本業務提携を牽引するなど、ドコモが成長領域と位置づけるスマートライフ事業をとりまとめる責任者だった。
“初の転職組トップ”という肩書が関心を集めたが、固定電話が主流だった1991年に移動体通信の会社として誕生し、もともとベンチャー色が強かったドコモにとって、社を代表するサービスとともに歩んだ前田氏は「実質的にほぼプロパー」(ドコモ関係者)ともいえる。
別のドコモ関係者は「iモード時代を経験し、イケイケドンドンの勢いがある。仕事に厳しいが、ゼロからイチを生み出し、新しくビジネスを作る力は間違いない」と評する。
ふたを開けてみると、今回の人事には納得感が広がった反面、現社長の井伊氏から一回り若返る世代交代となるだけに、グループ内外では驚きの声も上がった。
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