老舗アパレルに「旧村上ファンド」登場で再び波乱 巨額の「株主還元」を突如表明も、暗雲は深まる
東洋経済オンライン / 2024年7月10日 8時30分
突然の大盤振る舞いの背景に何があるのか。
【写真で見る】ダイドーリミテッドの取締役に選ばれた8人。ファンド側が提案した3人も含まれている
「ニューヨーカー」「ブルックス ブラザーズ」などを展開するアパレルメーカー、ダイドーリミテッドが揺れている。6月27日開催の株主総会で、ダイドー株の32%を保有する投資ファンド、ストラテジックキャピタル(以下SC)が取締役交代を求める株主提案を行い、反論するダイドー側と激しい批判合戦を繰り広げた(詳細はこちら)。
11期連続の営業赤字に沈むダイドーは、旧経営陣を退陣させ、コンサルタント会社代表の山田政弘氏を会長CEOに据える取締役案を発表した。株主総会では、ダイドー側の候補5人、SC側の候補3人が取締役に選任された。
ところが、波乱はそれで終わらなかった。7月4日、ダイドーが突如、株主還元を大幅に強化すると発表したのだ。
2025年3月期から3年間の配当を1株当たり100円に引き上げ(2024年3月期は2円)、最大50億円の自己株買いも実施する。これまでのSCとの議論で話題に上がっていなかった還元強化の発表を受け、株価は急上昇し、翌7月5日には前日比150円(15.8%)高の1095円で取引を終えた。
“さまざまな臆測”を払拭したい
「株主価値最大化、事業の継続性、投資余力の確保の3点を重視した議論をした結果、増配という結論になった」
株主総会を経てダイドーの新しいトップとなった山田CEOは7月5日の会見で、還元を強化する理由をこのように説明した。
会見には新たな取締役8人全員が出席し、それぞれが経営への思いを語った。8人の中には、投資ファンドのSCが提案した3人も含まれる。「(対立があるなど)さまざまな臆測が飛び交っている。それを払拭したい」(山田氏)。
「さまざまな臆測」とは、総会前に繰り広げられた非難合戦のことを指す。山田氏は「私だけが説明するのでは体面を取り繕っていると思われる。取締役会は一丸だ」と強調した。6月27日の総会後、取締役は毎日のように会議を行ったといい、「実際には1週間しかたってないが、3カ月くらい議論した感覚だ」(山田氏)。
SC側が社長候補として送り込んだ取締役の中山俊彦氏は、ダイドー従業員から就任を反対されていたが「とにかく現場主義でがんばっていきたい」と語った。
取締役が一枚岩になっていることを強調するダイドー。ただ、そこに新たな懸念材料が浮上している。SC以外の新たな“物言う株主”、「南青山不動産」の登場である。
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