日本政府の「西欧偏重主義」に日本人は飽きている 長崎平和式典「イスラエル招待しない」から見える感情
東洋経済オンライン / 2024年8月17日 9時0分
毎年8月は第2次世界大戦の戦禍、そして原爆被災を反省し、国民1人ひとりが戦争についてしっかりと考える月だ。たとえ永年劣化に苛まれようとも、これは戦後日本の最大の儀式である。
それもたんなる儀礼的式典ではなく、これから起こるかもしれない戦争を避けるための必須の行事だ。それはわが国民の悲劇だけを思うだけでなく、世界の人々、とりわけアジアの人々との心の痛みを分かちあう日でもある。
戦後戦争の拒否と平和を誓った日本は、幸いにもあのような戦争に、今のところ遭遇していない。世界はその後も何度となく戦禍にまみれているが、幸運なことに、いまだ第3次世界大戦は起こっていない。
もっとも今年2024年8月は、様子がかなり違っている。ウクライナのザポロージャやロシアのクルスクの原子力発電所地域が戦場となることで、ウクライナ戦争自体が新たな戦線拡大局面を迎えることになるかもしれないからだ。
イスラエルを招待しなかった長崎市
さらに2023年10月から始まったガザでの戦争は、隣国のイランを巻き込み、中東大戦争に拡大する懸念も増している。そしてそれは第3次世界大戦の導火線になるかもしれないのだ。非常に緊迫した状態だ。
そのような中、8月9日の長崎の平和祈念式典でちょっとしたトラブルが起きた。長崎市はパレスチナには招待状を出したものの、イスラエルへ招待状を送らなかったのだ。
それに対し、アメリカを中心としたG7の諸国から「大使の参加を見送る」という通知が来た。日本がG7の国である以上、そして国際法規を尊重している以上、G7が支持しているイスラエルを招待しないというのはおかしいというのだ。日本政府は国際法規を尊重しているのだからなおさらそうである。
しかし、長崎の平和祈念式典は政府の事業ではない。そのうえ、平和という文字を見る限り、残酷な攻撃をしているイスラエルの代表を長崎市が招待したくない気持ちは、よくわかる。しかも、その国際法規に対して、非西欧諸国の多くはそのダブルスタンダード的性格に怒りをもって、抗議しているのである。
少なくとも日本を除くG6の国はNATO(北大西洋条約機構)加盟国だ。だからG6がイスラエルを支持している以上、招待が拒否されれば行動をともにするというわけである。しかし、当然ながら日本はNATO加盟国ではない。また長崎市は、日本政府と違って長崎市なりの論理があってしかるべきである。
G7諸国が持つ奇妙な性格
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