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宮中から実家帰った「紫式部」心がかき乱された訳 その一方で宮中での生活が恋しくなるように

東洋経済オンライン / 2024年8月31日 10時0分

それはともかく、牛車から降りた紫式部たち。その姿は月明かりに照らされます。(こんな明るい中を、人から丸見えで歩かなければならないなんて、ひどいわ)と思いつつ、紫式部は歩き始めました。

先程の馬の中将は紫式部よりも先に進んでいるものの、どこに行けばよいのかわからず、オドオドしている模様です。

その様子を見て、紫式部は(私の後ろ姿を見る人もきっと同じように見ているだろうと思い、恥ずかしい)と感じたようです。

その夜、紫式部は、細殿の三の口で、小少将の君と語り合いつつ、横になります。寒さで硬くなっていた衣を横へ押しやり、重ね着をし、火取りに火を入れて、暖を取ります。

そうしたところに、侍従の宰相(藤原実成)、左宰相の中将(源経房)、公信の中将(藤原公信)といった男性たちがやってきました。紫式部は正直、鬱陶しいと感じたようです。

その「殺気」を感じたのか、彼らも長居はせず「明日の朝、出直してきましょう。今夜は寒い、我慢できない。身も凍る」と言うと、部屋から出ていきました。

可愛らしさもある、紫式部の一言

彼らが家路に急ぐ様子に、紫式部は(お家にどれほどよい奥様がいるのだろう)と思ったようです。「これは私が未亡人だから言うのではありません」と、ある種の言い訳を書いている紫式部。少し可愛らしくもあります。


(主要参考・引用文献一覧)
・清水好子『紫式部』(岩波書店、1973)
・今井源衛『紫式部』(吉川弘文館、1985)
・朧谷寿『藤原道長』(ミネルヴァ書房、2007)
・紫式部著、山本淳子翻訳『紫式部日記』(角川学芸出版、2010)
・倉本一宏『紫式部と藤原道長』(講談社、2023)

濱田 浩一郎:歴史学者、作家、評論家

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