「あ、昇進するなら辞めます」若者の新常識のなぜ 上司が「昇進を受けてもらう」ためにできる工夫
東洋経済オンライン / 2024年9月5日 9時0分
今、多くの企業が人手不足に悩み、離職を防ぐことは喫緊の課題となっています。
そんな中、「昇進したくなかった」という理由で辞めていく若手社員がここ最近増えています。「昇進は名誉なことであり、喜ばしいこと」。そういった考え方があてはまらない若手社員も少なくないようです。
そこで、経営心理士として1200件超の経営改善を行い、経営心理士講座を主宰する、一般社団法人日本経営心理士協会 代表理事の藤田耕司氏の著書『離職防止の教科書――いま部下が辞めたらヤバいかも…と一度でも思ったら読む 人手不足対策の決定版』から一部を抜粋・再編集し、上司として知っておくべき若手社員の価値観についてお伝えします。
昇進を理由に辞めていく若手社員
「仕事がよくできる若手の部下がいたんです。勤務態度も真面目で、よく頑張ってくれているので彼を現場のリーダーに昇進させたんです。そしたら辞めたいと言ってきたので、慌てて理由を聞いたら、『昇進したくなかったです』と言われ、そのまま辞めていきました。せっかく給料も上がったのに、わけがわかりません」
【データで見る】年代別でどれくらい違う?「労働時間、休日等の労働条件が悪かった」ために離職した人の割合
私は経営心理士、公認会計士として、心理と数字の両面から経営指導を行っていますが、近年、こういう声がよく聞かれます。
私が20代のころは、昇進は1つの大きな目標であり、その目標の存在が高いモチベーションとなって必死で働いていました。
しかし、今は昇進が原因で離職が多発する。時代はずいぶん変わったと感じますが、ただ、彼らの心理的特徴を考えると、その離職はうなずけるものであったりします。
私は20代~30代前半くらいの人と接点を持った際は、よくこんな質問します。
「職場に特に求めるものは何ですか?」
「仕事でストレスを感じるのはどんなときですか?」
「昇給、昇進のためなら、残業や休日出勤もありですか?」
この質問の回答から明確になってきた若手社員の心理的傾向として、次の3つが挙げられます。
【若手社員の心理的傾向】
①昇進、昇給よりプライベートの時間を確保したい
②人間関係にストレスを感じやすい
③物欲、出世欲が強くない
これらの点について、詳しくお伝えしていきたいと思います。
最近の若手社員「3つの心理的傾向」
①昇進、昇給よりプライベートの時間を確保したい
20代~30代前半の人に上記の質問をすると、「職場に求めることは残業がないこと」「残業や休日出勤をしてまで稼ぎたいとは思わない」「給料や昇進はそこそこでいいから、プライベートの時間を確保したい」といった話がよく聞かれます。
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