ロッキード・マーティンが自衛隊に狙う次の一手 新レーダーや垂直発射装置のビジネスチャンス開拓に熱
東洋経済オンライン / 2024年9月19日 10時0分
LMは、日本のASEVも、アメリカのLRDRも、スペインのF-110型も、カナダのリバー級駆逐艦もすべて、SPY7が発する電波の周波数が無線LANなどに使われるSバンド(2ギガ~4ギガヘルツ)であると説明。さらにこれらのすべてのプログラムが共通のSASを使用していると強調した。
LMは「日米加西の4カ国は、SPY7という共通製品へのアプローチによってコスト削減のための恩恵を受ける」とアピールした。
海自イージス艦の後継
LMがここまでしてSPY7レーダーの高性能や拡張性をアピールするのには理由がある。それが2番目の大きなポイントだ。退役時期が迫るこんごう型イージス艦の後継艦に、アメリカ・RTX(旧レイセオン・テクノロジーズ)のSPY6レーダーか、あるいはLMのSPY7レーダーのどちらが採用されるかに注目が集まっているからだ。両社にとってここ1、2年が売り込みの山場となろう。
海自は現在、こんごう型4隻、あたご型2隻、まや型2隻の計8隻のイージス艦を有している。こんごう型1番艦のこんごうは2024年3月ですでに艦齢が31年、2番艦のきりしまが29年、3番艦のみょうこうが28年、4番艦ちょうかいが26年に達している。
海自護衛艦では、ヘリコプター搭載護衛艦(DDH)のひえいが36年4カ月の最長の就役期間を記録したので、こんごう型の寿命は確実に迫っている。
2022年12月に閣議決定された防衛力整備計画の別表3(おおむね10年後)には、イージス艦が10隻整備されることになっており、現有の8隻より2隻増える。
防衛省は8月末、2025年度防衛予算の概算要求で、こんごう型イージス艦の除籍に伴う後継艦などを検討するための技術調査費用として33億円を計上した。
DDG(X)と呼ばれるこの後継艦には、SPY6が採用されるのか、SPY7が採用されるのか。SPY6はアメリカ海軍で2033年までに7艦種(DDGフライトⅢ、DDGフライトⅡA、CVN-74型、CVN-79型、LHA-8型、LPD-29型、FFG-62型)の65隻に搭載される見込みだ。
今後のアメリカ海軍との相互運用性を考慮すれば、たとえすでにイージスシステム搭載艦でSPY7を採用したとしてもSPY6のほうがよいのではないかとの意見も根強い。
これに対し、LMは「SPY7レーダーが他のSPYレーダーシステムと完全に相互運用可能であり、統合防空ミサイル防衛(IAMD)機能を提供する」と訴える。
導入コスト膨張への懸念
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