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効果的な腸活には「野菜よりお米」が欠かせない 日本人の遺伝子はご飯を食べるのに適している

東洋経済オンライン / 2024年9月21日 19時0分

そもそも人類は、炭水化物を食べて進化してきたのです。

つい最近まで、石器時代の人類は肉を主食にしていたと考えられていました。しかし、バルセロナ自治大学のカレン・ハーディ博士の研究により、この定説はくつがえされています。

石器時代の人類の歯石を調べたハーディ博士によると、歯石に炭水化物の成分が確認できたといいます。私たちの遠い祖先は、木の実や地下茎などからエネルギーとなる炭水化物を摂取していたのです。

さらに、人類が火を使うようになって加熱調理を始めると、炭水化物から摂れるエネルギーが増加し、その結果、脳が大きくなり人類が進化を遂げたこともわかっています。

日本人の「ご飯を食べるのに適した」遺伝子を活かす

特に、日本人は「ご飯」を主食に選び、3000年以上にわたって食べ続けてきました。その結果、遺伝子レベルで驚くべき進化を遂げていることがわかっています。

ダートマス大学のナサニエル・ドミニー博士は、世界のさまざまな民族の唾液を調査し、そこに含まれる「アミラーゼ遺伝子」を解析しました。

アミラーゼ遺伝子には、炭水化物(でんぷん)を甘い糖に分解する働きがあります。炭水化物をあまり食べない民族はアミラーゼ遺伝子が4〜5個だったのに対し、日本人は平均7個持っていることがわかったのです。

アミラーゼ遺伝子を多く持っているほど、炭水化物を分解しやすくスムーズに利用することができます。このことは日本人が長寿であることの理由の1つとして間違いありません。私たちの祖先は、炭水化物をたっぷり食べていたから、遺伝子さえも進化させて、健康長寿を実現させてきたのです。

炭水化物をたっぷり含む米を栽培できるのは、世界でも一部の限られた地域だけです。そんな日本に住む日本人には、米を中心とした炭水化物をたっぷり食べてほしいのです。

日本人は炭水化物を分解するアミラーゼ遺伝子を多く持っていることに加え、腸内細菌も、炭水化物を分解する菌がほかの国の人々より多いことがわかっています。

安易な炭水化物の制限に伴う「大きな代償」

早稲田大学の服部正平教授らが2016年に科学雑誌『DNA リサーチ』に興味深い研究結果を発表しました。日本人106人の腸内細菌叢を解析し、アメリカやフランス、ロシア、中国など計11カ国の国民の平均的な腸内細菌叢データと比較したところ、日本人は特徴的に「ブラウチア属」が多いことが示されました。

ブラウチア属の菌の特徴を考え合わせると、日本人の腸内細菌は炭水化物の利用に適している可能性が考えられます。炭水化物に含まれる食物繊維や難消化性でんぷん、難消化性オリゴ糖などをエサにして、私たちのからだにとって有益な「短鎖脂肪酸」を効率的に生み出してくれるのでしょう。

この「短鎖脂肪酸」には、すごいパワーがあることがわかっています。

たとえば、「免疫バリア機能の強化」「血糖値を一定に保つホルモンであるインスリンの分泌促進」「脂肪の蓄積を防いで肥満や生活習慣病を予防する」といった健康効果が期待されるのです。

つまり、炭水化物はからだに悪いと思い込んで制限したりすると、腸内細菌に充分にエサが行き届かず、短鎖脂肪酸を生み出せない環境を作り出してしまうことになるのです。そうすると、先に述べた短鎖脂肪酸の恩恵は受けられなくなってしまいます。

安易なダイエットなどで炭水化物を摂らないことは、こうした代償が伴うことをよく覚えておきましょう。

笠岡 誠一:文教大学健康栄養学部教授

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