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ダイソー「姉妹チェーン」通って感じた一抹の不安 始動から3年、「無印のライバル」はまだ遠い?

東洋経済オンライン / 2024年9月21日 10時0分

一方、ダイソーの場合はどこまでも「実利」をとっていくから、入れるところにはどんどんと入っていく。もともとが、百貨店の催事場を借りて営業していた歴史もある通り、少しのスペースでも貪欲に出店を伸ばしていく。ダイソーの出店戦略には「世界観」は関係なく、とにかく売ることができる場所、そしてある程度人が来る場所であればよいのである。

実は、ダイソーの方向性とStandard Productsの方向性は、本来、出店立地において相反するところがあると思うのだが、それが複合店によって一緒になっている。そこにStandard Productsの難しさがあると思うのだ。

「ブランド」を確立した無印良品

この点、Standard Productsと比較されやすい無印良品はどうだろうか。

その出店は1号店の青山に始まり、西武百貨店を中心に進められた。ある程度、都市部のハイソな店として数年間はそのイメージ戦略を形作っていった。

一方で無印良品も出店が加速した際、ブランド力が低下し業績不振に陥ったこともある。その際、運営会社である良品計画の新社長に就任した松井忠三は、商品開発から店舗レイアウトにわたる徹底したマニュアルを作り、「仕組み化」を進めた。松井は自著の中で「『これがいい』ではなく『これでいい』」という無印良品のコンセプトを、この「仕組み」によって担保することの重要性を述べている(『無印良品は、仕組みが9割 仕事はシンプルにやりなさい』、KADOKAWA)。

その結果、「無印良品でモノを買う」という「無印」ブランドが強固に再生した(その名前に反して)。イメージ戦略に成功したのである。

近年、無印良品は、地方への展開も積極的に行っており、その意味では出店等によるブランドイメージの操作はそこまで行われていないともいえる。しかし、それは無印良品がある程度「イメージ」を確立したからであり、それを地方に持っていっている、と見ることもできるだろう。

Standard Productsと無印を比べるのは、その歴史の違いから見て酷なことかもしれない。しかし、やはりStandard Productsには、まだまだ無印ほどの強さはないといえる。ダイソーにひきづられた出店が、今後、どのような影響を及ぼすのか。

目指すべきは「セリア」の方向性?

100均で見れば、「おしゃれ」というイメージで世界観の構築に成功しているのが、業界2位の「セリア」かもしれない。巷では「センスのセリア」という表現も見られるぐらいで、ウッディーで手作り感のある店内や、その商品のデザイン性などに、熱狂的なファンが付いている。

セリアに対して、ダイソーは圧倒的な品揃えや、業界内での歴史の古さが強みとなっているが、Standard Productsが目指すべきは、本来、セリア的な方向だったのかもしれない。

そう考えると、Standard Productsが目指す「世界観の構築」は、ダイソーが弱みとしているところでもあり、ここでStandard Productsがどのように踏ん張れるかが、大創産業の、企業としての今後にもつながってくるだろう。

谷頭 和希:チェーンストア研究家・ライター

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