日経平均は9月下旬以降再び下落する懸念がある それでも中期での日本株の魅力は変わらない
東洋経済オンライン / 2024年9月21日 9時30分
さらに11月5日のアメリカの大統領選挙の結果にも影響を受けそうだ。候補者2人の初の直接対決となったテレビ討論会(9月10日、ABC)では
民主党のカマラ・ハリス副大統領(59)が共和党のドナルド・トランプ候補(78)よりも優勢だったとの評価が多く、足元は次世代エネルギー関連株などの「ハリス・トレード」が続いている。
ただ、激戦州では接戦が続いており、まだ決め打ちはできない。10月1日の副大統領候補によるテレビ討論会も注視したい。投資家としては、どちらの候補が勝ってもいいような投資戦略を立て、柔軟に対応したい。なぜなら、物色対象(業種や個別銘柄)が大きく変わる可能性があるからだ。
もしトランプ氏が勝てば、法人税減税や規制緩和に積極的で、アメリカ景気・インフレの押し上げによるドル高円安が期待でき、対中強硬策によって、アジアの投資資金が日本にシフトされる可能性もあるかもしれない。さらに、ウクライナとロシアをめぐる情勢や、イスラエルとハマス(イラン)間の深刻な対立は、関係各国などによる停戦交渉への努力で落ち着きを取り戻すことができるのかも注意深く見守りたい。
中長期でみた日本株の魅力は不変
以上、今年の日経平均株価については最高値を再度上回ることはできず、目先は二番底のリスクがあることもお伝えしたが、重要なのは、中長期での日本株の魅力は不変だということだ。
為替が従来よりも円高に振れたことによって、このところ多くの市場関係者が、今後の相場に関しては「米国株式が優位で、日本株式が劣位だ」との見方が目立つようになってきた。だが、私は中長期で相対的に日本株が優位とみている。
その理由は主に以下の2つだ。まず、円高は中長期で日本株にとってプラスに働くとみている。なぜなら、普通は、弱い通貨の国の株式を中長期で保有したくないはずだからだ。
次に、米国株と比較してバリュエーション(指標面からみた企業価値)は相対的に割安だ。米国株が下落する局面ではツレ安する可能性も高いが、その後は徐々に下げ渋り、上昇時の反発も大きくなる可能性がある。
確かに東京証券取引所の「PBR改革」の第1弾(PBR1倍割れ銘柄への事実上の改善通告)は終わったかもしれない。だが「資本効率の向上への改善要請への取り組み」は始まったばかりだ。
例えば、現在、セブン&アイ・ホールディングスが、カナダのアリマンタシォン・クシュタール(ACT)から買収提案を受けている。提案側は経済産業省が2023年に示した「望ましい買収かどうかは企業価値を高められるかどうかで判断する」という行動指針に沿ってセブンが行動すると考えて提案しているようだが、こうした難題をどう解決するのか。多くの経営者にとって、目が離せないはずだ。
少し時間はかかるかもしれないが、日本企業がアクティビスト等からの「資本コストや株価を意識した経営の改善提案」を受けずに、経営陣自らが変革して企業価値を上げていけるか。伸びしろが大きいだけに、引き続き期待したい。
(当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
糸島 孝俊:株式ストラテジスト
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