日本がアメリカにかなわない根本的理由とは何か 自民総裁選の議論も日銀記者会見もつまらない
東洋経済オンライン / 2024年9月21日 21時30分
だが、私が早朝にもかかわらず、熱心に毎回見ているのは、しかも、真面目の前に2文字がつくほど真面目なパウエル議長の会見でも、寝ないでいられるのはなぜだろうか? 彼の話は、トランプ氏の議論(口論?)と違って、面白くはない。いったいなぜなのか?
それは、パウエル議長も、質問する記者たちも、本気(マジ)だからである。「マジ?って、オバタ、お前マジ?そりゃあ、中央銀行の記者会見が真面目でないはずはないだろう?」というツッコミが飛んで来そうだ。では、相撲用語で、ガチンコと言ったほうがいいか。パウエル議長も真剣勝負であるのはもちろん、建前論に終始するのではあるが、その建前が「マジ」なのである。だから、記者との対峙もガチンコであり、一問一答における一言一句に価値があり、魂はこもっていないが、情報は詰まっているのである。
パウエル会見に対して、記者たちもガチンコである。記者生命をかけて、というよりは、自身の好奇心をかけて質問してくる。
今回の質問は、まずなぜ利下げが0.25%でなく0.5%なのかということに終始した。重要視しているのはインフレなのか失業なのか景気なのか。今利下げしても手遅れではないのか。そして、その議論のプロセスについて。いつ決めたのか、どんな議論があったのか、さらに、じゃあ今後も0.5%で行くのか、今後の方針はどう決めるんだ?という、将来のことについても質問が及んだ。
どの質問も、私も聞いてみたいことばかり。疑問に思っていたことばかり。そして、同じ質問を別の記者が繰り返すことはない。前の記者の質問を受けてさらに聞く、さっきああ答えたけど、じゃあ次はこうなるってことか? みたいな質問もあった。どれも納得の質問だ。
パウエル議長は、正直に本音を100%答えているわけではないが、それでも明快。煙に巻くことはない。そして、時間が来たら、ラストクエスチョン、終わったら、さっと消える。カッコいい。
好奇心からの記者の質問が圧倒的に少ない日本
これが、日本だとどうなるか?記者はあらかじめ用意してきた(あるいは上司に指示されてきた)質問を、前の質問者が何を聞いていたとしても、繰り返し聞く。好奇心からの質問ではない。
そして、アメリカは、金融市場一筋、あるいはFEDを10年以上追ってます、みたいな人ばかりだが、日本は人事異動で、新しく若い(というか金融市場、金融政策の経験が少ない)が交代で入ってくる。その後ろで、個人的に(?)興味のあるベテラン記者が時間の最後のほうでやや鋭い質問を投げる。だから、たまに私は寝てしまい、15時半からの会見で16時15分ごろから、パッと目が覚めることも正直あった。
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