日本がアメリカにかなわない根本的理由とは何か 自民総裁選の議論も日銀記者会見もつまらない
東洋経済オンライン / 2024年9月21日 21時30分
しかし、今回の問題は、この違いはどこから来ているのか?ということである。
植田和男総裁は真摯この上ない。黒田東彦前総裁は、木で鼻をくくったような官僚答弁だったが、あれぞプロ、プロの官僚として、記者会見の質疑でのミスはほぼなかった。むしろ、植田総裁は正直すぎて、波紋を呼ぶことが多い。だから、私も植田総裁になって寝ることは皆無になったのだが、それでも、やっぱりつまらない。なぜなんだ?
日本では質問の名を借りた「非難」に
端的に言えば、上述したように、日本の記者の質問がつまらない、ということなのだが、問題はそこではなく、彼らも職業人として、一生懸命やっている質問があれなのだ。それは、なぜなのか?
私は、いまさら、アメリカと日本の中央銀行記者会見での質問の単純なしかし根本的な違いに気がついた。
前述の記事でも指摘したが、それは、アメリカの質問は、好奇心からくるまさに「質問」なのだが、日本の質問は、質問の名を借りた「非難」なのである。
植田総裁、この前はこう言っていたのに、今日はこう言っている。矛盾じゃないのか。さっきこういった、ということは、今後は物価が上がらない限り利上げをしないんですね。庶民は円安で困っている。何とも思わないのか!という具合だ。揚げ足取りか、言質を取るか、あるいは単純な非難。だいたいがこの3つである。
こう書くと、日銀記者会見に集まっている記者は嫌な奴ばかりに聞こえるかもしれないが、そうではない。日本人全員がこういう風なのである。
つまり、問題は、日本社会、日本文化とまで言ってもいいかもしれないが、そこにある根本的な問題なのだ。
例えば、「モノ言う株主」という言葉があるが、つまり、質問を株主総会でする、経営陣に質問をする、何かを言う、という時点で、それは反対、ということなのだ。日本では議論は存在しない。口を開く、ということは文句か反対か非難、攻撃なのである。
官僚答弁、という言葉があるが、国会での論戦は、政治家の先生方が大臣となった瞬間に官僚的な答弁になる。あれは、官僚が答弁を作成しているから官僚答弁になるのではなくて、あの場では、言質を取られないことだけが重要なので、政治家も答える側になった瞬間に官僚的になるのだ。
官僚答弁に終始していた大臣が、野党になり、質問者になると、突然、攻撃、アジテーションになるのは、何も二重人格なのではなくて、優秀な政治家であり、大臣であるということなのだ。
「わな攻撃と防御」の日本、建前を全力で議論する欧米
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