最終週「虎に翼」異例ヒットとなった"2つの理由" 新鮮でありながら「NHKらしい」見事なドラマだった
東洋経済オンライン / 2024年9月23日 10時30分
むしろ、これまであまりにも人間を型にはめすぎてきたのではないか。寅子が「はて?」「はて?」と別の視点を提示していくたびに、実社会での問題がくっきりと浮かび上がってくる。だからこそ、これまでの朝ドラは品行方正過ぎて魅力を感じなかったという層にも受けたのだろう。
それこそ、明るく元気でさわやかで良識的な朝ドラヒロインみたいであれ、と型にはめられてきた世の女性たちにとって、そこからはみ出た型破りな寅子はしてやったりなのである。
米津玄師の主題歌『さよーならまたいつか!』の歌詞には「空に唾を吐く」とか「知らねえけれど」とか乱暴な言葉が出てきて、これもまたこれまでの朝ドラらしくなかった。
寅子のモデルで、日本初の女性裁判官・三淵嘉子さんはアッパークラスの人で、銀行員の家に生まれ、法曹界に女性が少なかった時代に法律家となり、最高裁長官の息子と再婚し、日本ではじめて家庭裁判所の所長になった人で、資料を見ると、「空に唾を吐いたり」「知らねえけれど」なんて言ったり決してしないであろう上品な人物に見える。
おそらく、あえて逆をいったところが、ドラマが支持される要因のひとつであろうか。
ヒットしたもう一つの「重要ポイント」
ただ、主人公が型破りなだけだったら、『虎に翼』はこれほどの話題作には成り得なかったであろう。
型破りな主人公が関わる事件は史実に忠実で、帝人事件を模した「共亜事件」にはじまって、朝鮮人差別の問題から、原爆は国際法に違反すると判じた原爆裁判、尊属殺人、少年法の改正、安保闘争、ブルーパージ等、昭和の日本を揺るがした事件を扱っている。
そこに関してのキーマンがいる。NHKの解説委員であり、著作も多数あるジャーナリスト・清永聡が取材スタッフとして参加しているのだ。彼の著作『気骨の判決:東條英機と闘った裁判官』はドラマ化もされ(原作表記)、『戦犯を救え:BC級「横浜裁判」秘録』も今夏、ETV特集で映像化された(こちらは取材表記)。
『虎に翼』の企画の立ち上がりは、清永の著書『家庭裁判所物語』を読んだ、尾崎裕和チーフプロデューサーが、その中に登場する三淵嘉子が朝ドラの題材になるのではと思ったところからはじまったそうだ。
清永が3年かけて執筆した『家庭裁判所物語』のための膨大な取材データがあったがために、司法に関する部分が引き締まった。裁判官による判決文は本物を用い、その力強さは並大抵の創作にはかなわないものがある。そして、清永は事前にモデルになった方々への挨拶等、リスク管理を徹底しているため、ツッコミようがない。
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