1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. 経済

進化したJR四国の振子特急、2700系「南風」の実力 出力も設備もランクアップした最新の気動車

東洋経済オンライン / 2024年9月24日 7時0分

吉野川沿いに高知をめざす「南風」。四国山地の隘路も振子にものを言わせて時速80km以上の駿足(三繩ー祖谷口) (写真:久保田敦 )

鉄道ジャーナル社の協力を得て、『鉄道ジャーナル』2024年11月号「2700系『南風』が象徴するJR四国の矜持」を再構成した記事を掲載します。

雰囲気を残しながら座席も設備も現代流に進化

今回の四国訪問のスタートは岡山7時08分発、2700系気動車特急「南風1号」に乗車した。

【風景の中の2700系】児島よりJR四国のエリアに入り鷲羽山の下を抜けると雄大な瀬戸大橋。「阿波の青石」と呼ばれる変成岩が荒々しく露出する様子を見て渡る第二吉野川橋梁

四国の特急列車といえば険しい線形をものともしない振子車両が思い浮かぶ。その看板車両だった2000系を置き換えたのが2700系だ。2019年1月に最初の車両が竣工、各種試験を経て同年8月に営業運転を開始した。最初は高徳線特急「うずしお」の一部に充当、9月から土讃線特急に運用を拡大している。四国のJR線はともすれば地味な印象を受けるが、鉄道経営には過酷な条件のもとで懸命の経営努力を重ねてきた様子の表れの一つが、この列車である。

岡山駅6番のりばに入ってきたのは高知方先頭1号車から2805+2780+2730の3両編成。1号車の2800形は半室グリーン車で、2・3号車の2750形+2700形は普通車。普通車コンビの2両編成に半室グリーン車を連結した組成と言える。1・2号車が指定席、3号車は自由席である。

2700系は、これに先んじて少数が作られた2600系や電車の新型車両として誕生した8600系と同様、2000系気動車や8000系電車から多くの世代的変化が見られる。

グリーン車の座席はレッグレスト付きで、気持ちよくリラックスできる。普通車座席でも座面がリクライニング機構と連動している。モバイル機器用コンセントは全席装備(8000系電車リニューアル車では指定席は全席、自由席は窓側のみ新設)、車いすスペースや大型荷物置き場も用意された。2800形に多目的室、2700形に多機能トイレがある。

逆に振り返れば、2000系世代ではこれらは標準装備ではなかった。トイレも、往時は「地方の実情」から和式と考えられていた点に時代を感じる。その一方、グレー基調のシンプルな内装や、土地の工芸を感じさせる座席生地などはこれまでを継承した印象だ。

四国フリーも購入できる「スマートえきちゃん」だが…

岡山を発車すると、JR西日本の宇野線区間は複線化された部分もあるが基本は単線のため、さっそく行き違いの運転停車がある。朝は列車が多いせいか、その後もやや抑え気味の走り方が続き、高性能エンジンを響かせての本格的な高速走行は、茶屋町から瀬戸大橋線の名に似合った複線高架の新線区間に入ってからとなった。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください